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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: ジャック・ニコルソン

『 シャイニング 』 -サイコ・スリラーの名作-

Posted on 2019年11月20日 by cool-jupiter

シャイニング 80点
2019年11月18日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ジャック・ニコルソン シェリー・デュバル ダニー・ロイド
監督:スタンリー・キューブリック

f:id:Jovian-Cinephile1002:20191120231222j:plain

 

期せずして『 レディ・プレーヤー1 』の核心的な部分のプロットを占め、また公開間近の『 ドクター・スリープ 』のprequelである本作を復習鑑賞するなら、今でしょ!というわけでTSUTAYAで借りてきた。というか原作小説が20年も積ん読状態なのだが・・・

 

あらすじ

ジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)は冬季に閉鎖される展望ホテルの管理人の職を得て、妻のウェンディ(シェリー・デュバル)、息子のダニー(ダニー・ロイド)と共にホテルにやってくる。だが、ダニーは「シャイニング」というテレパシー能力と、トニーというイマジナリー・フレンドがいた。そしてホテルでは過去に管理人が正気を失い、家族を斧で斬殺するという事件が起きていた・・・

 

ポジティブ・サイド

オープニングの瞬間から、目に見えない緊張が走っている。それは、仕事を得ようとするジャックの意気込みであったり、あるいはウェンディとダニーの会話であったり、あるいはダニーとトニーの鏡を挟んでの謎めいた対話であったりである。それら全てが不吉なオーラを放っている。このことは狭い室内や車内に家族三人だけというシーンと、巨大な展望ホテル内に大人数のスタッフが働き、客が宿泊しているというシーンと対比させると余計に際立って感じられる。光と影だけではなく、空間や人口密度のコントラストが映えている。

 

何気ない日常の描写の一つひとつが生きている。トランス一家にホテル全体を案内するシーンや、庭園にある迷路を散策するシーン、大広間でひとり仕事に没頭するジャックの絵などが不安を招く。特に玩具の車でホテル内を疾走するダニーの前に現れる双子は、その唐突さ、静寂さ、動きの無さ、そして動きの遅さに人外の気配を感じ取れずにはおれない。

 

そうした中で狂ってしまったジャックの演技は名優ジャック・ニコルソンの真骨頂である。『 バットマン 』におけるジョーカーは「こんな悪党、おらへんやろ」的なキャラであったが、こちらのジャックは「こういう奴はおるかもしれんな」と思わせてくれた。特に、感情の全くこもらない顔と声でダニーに「愛している」と呟くシーン、口角を上げながらも下からねめつけてくるように階段を上って、ウェンディを追い詰めるシーンは称賛に値する。そのウェンディも、余りにも大袈裟すぎる顔芸で恐怖を我々に伝えてくれる。元々大きめな目がさらに見開かれ、悲鳴を上げ続けるしかないクライマックスは、恐怖映画の一つの様式美になっている。

 

そしてダニーを演じたダニー・ロイドは『 シックス・センス 』のハーレイ・ジョエル・オスメント以上の怪演を披露する。個人的には『 エクソシスト 』のリンダ・ブレアに匹敵するパフォーマンスであると感じた。特にトニーと話す時の目つき、顔をやや傾ける仕草、そして人差し指をカクンと折り曲げる動作には、名状しがたい不気味さがある。そして、voice changerを使っているかのようなトニーの声も神経に障るような感覚をもたらす。特に“Redrum”を連呼しながら、反転した文字を書くシークエンスは鳥肌ものである。また、そうした不気味なオーラを放つ子どもが『 アス 』並みの顔芸で驚くのである。これはダイレクトに怖さが伝わる。というか、『 アス 』のこの顔はダニーから来ているのではとすら思えてしまう。

 

本作は後の時代の様々な作品に影響を及ぼした。特に狂気に囚われ、斧でドアを破壊して、不気味な笑みをのぞかせる最も有名なショットは数々の作品でオマージュとなり、パロディにもなってきた。ややマイナーな例を挙げるならば、漫画『 ジョジョの奇妙な冒険 』第三部の敵キャラであるアレッシーの「ペロロロロペペロロペロ~ン」のシーンだろう。また、狂ったジャックが酒を煽るバーのシーンはそっくりそのままSF映画『 パッセンジャー 』で再現された。時代を経てもオマージュが捧げられるのも名作の条件である。

 

その他にも、三輪車を追いかけるカメラワーク、庭園の迷路を行くウェンディとダニーを追いかけるカメラワークなど、巨大な空間にごく少数の限られた人間しか存在していないということを明示するようなショットがふんだんに使われていて、観る者に否応なくある種の予感めいたものを感じさせる。また鏡が重要なモチーフを果たすのは古今東西の映像作品のお約束であるが、その技法を徹底的に追求した最初の作品であるとの評価を本作に与えることもできるだろう。

 

ネガティブ・サイド

シャイニングという能力が何であるのかが今一つはっきりしない。それに終盤にさっそうと再登場してくれるハロラン料理長も、なぜ大声を出して呼び掛けるのか。もちろん、シャイニングでコミュニケーションが取れないからこそ声を出しているわけだが、237号室で何かあったと考えないのか。あまりにも無防備で、あまりにも呆気ない死に様であった。

 

全体的にカメラワークが光るのだが、26:09の時点で、小屋の窓に撮影車両が写ってしまっている。DVDにする時に消せなかったのだろうか。完璧主義者スタンリー・キューブリックにしても、こんなことが起こってしまうのか。

 

ジャックが狂気に侵されていく過程の描写が弱い。劇中ではネイティブ・アメリカンの墓地が云々と説明していたが、それでは普段のスタッフや宿泊客が無事であることの理由にはならない。ホテルそのものが邪悪を孕んでいるということを暗示させるようなシーンや演出が序盤で二つ三つ欲しかった。“All work and no play makes Jack a dull boy.”を一心不乱にタイピングし続けるシーンが数秒だけでもあれば尚よかったはずだ

 

総評

悪霊や超自然的な存在は恐怖の源泉である。しかし、本当に怖いのは人間だろう。しかも、「本当に実在するかもしれないアブナイ人間」が一番怖いように思う。自分もそうなってしまうかもしれないという不安が振り払えないからである。トランス一家の面々の素晴らしい演技、迷路状のホテル内部と敷地内の庭園、この世ならざる双子の娘たちの不気味さ。数学てな計算によって最も恐ろしいホラー映画とされたことには個人的には疑問符がつくが、サイコ・スリラーの名作であることは疑いようもない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

grab a bite

 

直訳すれば、「ひと噛みを手で掴む」である。転じて、「軽く食べる」という意味である。マクドナルドのハンバーガーなどを思い浮かべればいい。手にとって、パクっとひと噛みする、あのイメージである。「一口じゃ、食べられねーぞ」という突っ込みは無用である。「一杯行くか」と言って、一杯だけで済む酒飲みはいない。英語でもgo for a drinkといって、酒の一杯で済ませる人はいない。Grab a biteも同じである。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1980年代, アメリカ, サスペンス, ジャック・ニコルソン, スリラー, ホラー, 監督:スタンリー・キューブリック, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 シャイニング 』 -サイコ・スリラーの名作-

『 バットマン 』 -ダークヒーロー誕生物語-

Posted on 2019年9月9日 by cool-jupiter

バットマン 70点
2019年9月3日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:マイケル・キートン ジャック・ニコルソン ビリー・ディー・ウィリアムズ
監督:ティム・バートン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190909021532j:plain

 

やはり新作DC映画『 ジョーカー 』の封切を前に、復習の意味で鑑賞。ちなみに『 スーサイド・スクワッド 』を見直す予定はない。ハーレイ・クインの単独映画リリース前には最鑑賞するかもしれない。

 

あらすじ

ゴッサムシティには犯罪が絶えない。しかし、警察が取り締まれない悪人たちを夜毎に制裁するバットマン(マイケル・キートン)がいた。その正体は大富豪のブルース・ウェイン。そして、犯罪組織内の仲間割れでジャック・ネイピア(ジャック・ニコルソン)は警察とバットマンに追われる。辛くも逃れた彼はしかし、ジョーカーへと変貌してしまった・・・

 

ポジティブ・サイド

オープニングのダークでおどろおどろしい雰囲気の映像に、ダニー・エルフマンのTheme Musicが奮っている。アニメの「バットマ~ン!」ではなく、「ダダダダーダ」の旋律が、どこか危うい力強さを感じさせる。これによって観る者は一気にゴッサムに入っていくことができる。素晴らしいシークエンスである。

 

またマイケル・キートンも、ベン・アフレック並みにハマっている。というか、ベン・アフレックがマイケル・キートン並みにハマっていると評すべきか。クリスチャン・ベールはバットマンとして卓越した演技を見せたが、最もブルース・ウェインに近いのはキートンであるように感じる。鼻持ちならない金持ちで、プレイボーイなところがよく似合っている。また、バットマンとしての演技でも魅せる。特に、振り向き様や真上を見上げる瞬間の身のこなし、その時にピタリと動きを止めて見せるところから、原作コミックの絵を忠実に再現しようとしていることが分かる。ティム・バートンの美意識とマイケル・キートンのプロフェッショナリズムが上手く相互作用した。

 

だが、何と言ってもジャック・ネイピアおよびジョーカーを演じたジャック・ニコルソンだろう。『 シャイニング 』はホラー映画の金字塔として今も燦然と輝いている。そのことは『 レディ・プレイヤー1 』を観てもよく分かる。その狂気が今作でも爆発。しかも真っ白の顔がルージュの口紅のようなもので常に笑った顔にメイクアップされ、しかも紫のスーツ!完全にイカれているのが外見からだけでも分かるが、行動もinsaneの一言。曲撃ちで元々の組織のボスを撃ち殺したかと思えば、『 ゴーストバスターズ(1984) 』のマシュマロマン的な人形に詰め込んだ毒ガスを散布したりと、犯罪者を通り越して大量殺人者、無差別テロリストである。このジョーカーも相当に恐い。バットマン自身が原作コミックに忠実に動いていたり、ゴッサムの街そのものが『 シザーハンズ 』や『 スリーピー・ホロウ 』的な世界観を纏っている、つまり、この世ならざる幻想世界のような雰囲気を醸し出す中で、容赦なく人を殺して回るジョーカーは決して道化師ではない。また、『 ダークナイト 』の名シーンである、バットマンがジョーカーを轢き殺さんと真正面から対峙する構図は、すでに本作で描かれていた。すなわちバットウィングで上空からジョーカーを射撃するバットマンと、超長砲身の銃でバットウィングを撃墜せんとするジョーカーの対決シーンである。このシーンを観るのは三度目だが、何度観ても手に汗握る名シーンである。

 

もう一つ、ジャック・ネイピアの若い頃を演じた俳優が良い。ジャック・ニコルソンを若返らせれば、確かにこうなるだろうという容姿である。ハンニバル・レクター/アンソニー・ホプキンスの若き頃を演じたギャスパー・ウリエルを思い起こした。余談だが、Jovianの同僚イングランド人はマッツ・ミケルソンをホプキンス以上と激賞する。

 

コミカルなダークさ、hand to handの格闘アクション、バットモービルやバットウィングなどの大型ガジェットなども見物で、バットマンというアメリカで最も有名な(Jovian調べ:同僚アメリカ人2人にアンケート調査)スーパーヒーローとそのarchnemesisであるジョーカーとの対決を堪能できる逸品である。

 

ネガティブ・サイド

ゴードンやデントの存在感の無さ。特にビリー・ディー・ウィリアムズは空気なのかと思えるほど、劇中で存在感を発揮しない。ハービー・デントの名が泣くではないか。

 

また執事アルフレッドの存在感も今一つだ。両親を早くに亡くして、というか殺されてしまったブルース・ウェインの心の拠りどころの大部分はこの老執事にあるのだから、彼にもそれなりの見せ場が欲しかった。飲食物を手配したり、取材費を渡してやったり以外にもするべきことはあったはずだ。アルフレッドがブルース人生におけるpositive male figureである演出があってしかるべきだった。この部分が欠けてしまっているが為に、バットマンがなぜ夜な夜な悪と戦うのかという動機づけの説明、または観る側に推測させる材料が不足してしまっている。

 

キム・ベイシンガーのキャラクターが個人的にはハマっているようには見えなかった。大富豪と二人っきりでディナーを楽しみ、同衾しながら、翌朝には「普段の自分はこんなことしない」と、そのことを後悔するなど、キャラクターがぶれまくっている。ゴッサムにカマトトは似つかわしくない。

 

総評

ジョーカーの登場シーンで頻繁に流れる“Beautiful Dreamer”が摩訶不思議な雰囲気を生み出している。ティム・バートン世界とゴッサムは相性が良さそうだ。リアル路線のバットマンおよびスーパーヒーローものも悪くないが、幻想的な世界で繰り広げられるバットマンとジョーカーの攻防の面白さは、とてもユニークである。『 ダークナイト 』のジョーカーはカリスマ性を感じさせるが、波長が合えばこちらのジョーカーの方がチャーミングかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

How much do you weigh?

 

「体重はどれくらいだ?」の意味である。“What do you weigh?”も同じくらい良く使われる表現である。こんな表現を頻繁に使うのはボクシング関係者および熱心なボクシングファンくらいであろうが、覚えておいて損になるものでもない。

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Posted in 映画, 海外Tagged 1980年代, B Rank, アクション, アメリカ, クライムドラマ, ジャック・ニコルソン, ビリー・ディー・ウィリアムズ, マイケル・キートン, 監督:ティム・バートン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 バットマン 』 -ダークヒーロー誕生物語-

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