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『 一礼して、キス 』 -採点に難儀してしまう駄作-

Posted on 2018年9月9日2020年2月14日 by cool-jupiter

一礼して、キス 15点
2018年9月7日 レンタルDVDにて観賞
出演:池田エライザ 中尾暢樹 松尾太陽 鈴木勝大
監督:古澤健

f:id:Jovian-Cinephile1002:20180909012416j:plain

なんでこんなもんを作ってしまったんですか、古澤健監督さんよ・・・ 確かにあなたは甘酸っぱい青春ものを撮ったり、性のデリケートな部分をちょいと面白おかしく切り取る癖のある映画監督だとは知っていたが、甘酸っぱい青春物にセクシーな要素をちょびっと取り入れると大失敗してしまうというのは『 クローバー 』や『 今日、恋をはじめます 』から、ある程度の予想はしていた。が、これほどの惨事を引き起こしてしまうとは予想外だった。本作を駄作たらしめている要素は数限りなくあるが、大きく分けると4つだ。

1つ目は、感情移入できないキャラクターたち。いきなりキスされて全く無抵抗の杏(池田エライザ)。新部長としての役割を全うしようとしない曜太(中尾暢樹)。そんな曜太を強く諌めるでもなく責めるでもない先輩や同級生や教師たち。デリカシーに欠ける、と言うよりも大人として、人間としてのネジが外れているとしか思えない言動をとる曜太の父親。存在しても、しなくても、特にストーリーに影響を及ぼさないライバル高校の生徒、そして大学の弓道部員たち。いったいぜんたい、これらのキャラクター達にどういうケミストリーを起こしてほしいのか。意図が全く見えないし、面白さがあるわけでも、緊張感が漂うわけでも、ユーモアが生じてくるわけでもない。とにかく意味が分からない。不愉快でしかない。

2つ目は、役者陣の稚拙な演技。これについては何も言うべきではないのだろう。なぜならOKテイクを出したのは監督だからだ。もしくは複数あるはずのショットからベストと思われるものを編集したスタッフの罪とも言える。古澤監督は、もう一度、北野武の言葉によくよく耳を傾けるべきだ。または失敗作の後に必ず名作を世に送り出してきた黒澤明の数々の言葉をもう一度噛みしめるべきだ。

3つ目は、照明と使い方。特に夕陽のシーンを多く使っていたが、もう少し光の角度や影が落ちる方向を考えければならない。絶対にそうはならないだろう、という角度がついた影が多すぎる。せっかくロマンチックな、もしくはセクシーなショットが撮れているところなのに、何故こんな致命的ともいえるミスを犯すのか。映画とテレビ番組の最大の違いは、映画は照明を落とした劇場で大画面で観るもので、テレビは狭い空間で明るいままに見るものである、ということだろう。つまり、映画を観る人は、まず何よりも光の使い方に注目するし、映画を作る側は光の使い方に工夫を凝らさなければならないのだ。その意味では本作は落第の烙印を押されても文句は言えまい。

4つ目は杜撰な脚本だ。台詞と実際の物語の描写や進行が合致しない場面が多すぎる。曜太が「ユキ」に電話で呼ばれて行ってしまうシーンは2度。それを指して「いつもユキさんに呼ばれると言ってしまう」という杏の台詞は、この時点ではやや過剰すぎる反応に見えてしまう。また、一度しかそんなシーンは無かったにもかかわらず、「曜太くん、いつもここにいたから」といった台詞もあった。繰り返すが、曜太がそこに佇立しているシーンは1度だけしかなかったはずだ。それを指して「いつも」というのは、やはり説得力に欠けると言わざるを得ない。それともこれも編集ミスの類なのか。他にも、曜太が誰かを殴るシーンも不自然すぎる。というよりも、これまでに見たどんな映画の殴りのシーンよりも不自然なシークエンスだった。興味のある方だけご覧あれ。

兎にも角にも、採点するのが困難になるほどの駄作である。古澤監督には宿題としてオイゲン・ヘリゲルの『 日本の弓術 』を100回読んで、無我の境地に至ってほしいと思う。一度頭を空っぽにリセットして頂きたい。『 走れ!T校バスケット部 』の出来が心配になってきてしまった。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, F Rank, ロマンス, 日本, 池田エライザ, 監督:古澤健, 配給会社:東急レクリエーション

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