大栗先生の超弦理論入門 75点
2026年2月20日~2月25日にかけて読了
著者:大栗博司
発行元:講談社
生成AIパスポート試験対策の本を買いにジュンク堂へ。そのついでに本書も買ってしまった。JovianはSFが好きで、昔はNEWTONを定期購読していたし、今でもたまにこういう本を読むのだ。

あらすじ
古代ギリシャ(本書ではギリシア表記)のエウクレイデス(本書ではユークリッド表記)やデモクリトスから、現代のウィッテンやマルダセナに至るまでの極小の点、空間に関する理論の変遷を追う。
ポジティブ・サイド
物理学、就中、物質の構成についての人類の考察の歴史的な発展が理論物理学の碩学の手によって活写されている。しかし理系にしか理解できないわけではない。各章の初めに詩人や文学者の素朴な疑問や感想、哲学者の省察などが置かれ、しかもそれが導入として非常に効果的に働いている。天文好きだった宮沢賢治の言葉もあり、賢治ファンならにやりとさせられるかもしれない。
本書には超簡単、超有名なものから超絶難解なものまで数式がそれなりに登場するが、難しい数式のせいでページを繰る手が止まるということはない。逆に巻末付録のオイラーの公式の解説には笑ってしまい、そして唸らされるだろう。
本書の読みやすさにはイラストや似顔絵の豊富さも貢献している。それらすべてが著者の手書きによるものだというから驚き。これにより紙面がぐっと柔らかくなっている。また有名な光の干渉縞を文庫本二冊で目視する方法というのは本書で初めて知った。実際にこの方法を試してみて干渉縞を見て感激した。こういうトリビアはありがたい。
本書の読みやすさのもう一つの特徴として、編年体形式と列伝体形式が巧みにミックスされていることが挙げられる。特にエドワード・ウィッテンはアイザック・ニュートン、アルバート・アインシュタイン級の天才なのではないだろうか。またフアン・マルダセナはスティーブン・ホーキング級だと思われる。
ちなみにコスミック・フロントやコズミック・フロントNEXTによく出ていた超天才の誉れ高い村山斉が後輩だとのこと。正直なところ、素粒子物理学やら超弦理論の真髄は浅いレベルでしか理解できないが、データと数字、そして想像力と直観の世界で戦うのが数理・理論物理学者という生き物だということはよくわかった。
著者自身が特定の章の読み飛ばしを推奨しているので、しんどいと思ったらそこは飛ばそう。SFファンなら、たまにはこういう本を読むのもいいだろう。
ネガティブ・サイド
入門とタイトルに入っているが、これを入門書に選んで「確かに入門書だった」と言える人は理系の学部生レベルの素養がある人だろう。天才が入門書を書いてみたものの、実際は中級者向けぐらいか。これは著者の責任というよりも編集者の方か。UCLAバークレーのPhysics 101は日本の普通の大学だと200番台、場合によっては300番台になるのだろうな。
もし子のレビューによって本書に興味がわいたという奇特な向きには

『 面白すぎて時間を忘れる宇宙の話 』ISBN:978-4837930914
『 決定版 量子論のすべてがわかる本 』ISBN:978-4054067493
あたりを先に読めばよいだろう。特に『 量子論のすべてがわかる本 』ではぼやかされた「くりこみ理論」が本書では図解と共に鮮やかに解説され、文字通り理解の次元が上がる。
総評
裏表紙にある「類のない平易な説明」というのは、ちょっとミスリーディングかな。分かりやすいこと、あるいはなんとなくわかった気にさせてくれることと、その説明が平易であることは必ずしもイコールではない。ただ、ある程度の予備知識や、あるいはSFというジャンルへの興味や好奇心があれば、読み進めることは決して苦痛ではない。たまに大人の読書をしたいという向きは、本屋で見かけたら数ページ立ち読みの上、購入の決定をされたし。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
-on
接尾辞、つまり語幹の後にくっついて別の意味を与える形態素である。本書にもフェルミンやボゾンやらが出てくるが、このオンとは微小粒子のこと。プロトンは陽子、エレクトロンは電子、フォトンは光子である。最近、グラビトン発見に近づいたというニュースが国内であった。科学的な発見に心躍らせるようになれれば、心が若さを取り戻したと言えるのではないだろうか。
次に劇場鑑賞したい映画
『 ブゴニア 』
『 映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城 』
『 射鵰英雄伝 』
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