ここにひとつの▢ がある 70点
2026年2月16日~2月20日にかけて読了
著者:梨
発行元:株式会社KADOKAWA
最寄り駅の中の本屋で暇つぶし目的に購入。電車の中、あるいは寝る前の10分、20分を使って読了。

ポジティブ・サイド
小説家志望の大学生あたりが腕試し、あるいはアイデア試しに書いてみたような作品の集まり。しかし、そのクオリティはどれも高い。
個人的には第三章の「カシル様専用」が読中そして読後にもたらす「え?」という感覚が非常に気持ち悪かった。気持ち悪かったというか居心地が悪かったという方が正確か。これは誉め言葉である。
第四章の「練習問題」では趣がガラリと異なり、様々な算数や数学の例題が列挙される。別に解いても解かくなくてもよい。それらの例題が何を意味するのか、徐々に明らかになってくる時の気持ち悪さが特徴的。しかしページを繰る手が止まらない。この作者、かなりの手練れだ。
第六章の「穴埋め作業」も同工異曲のゲテモノ的な面白さ。こちらはクロスワードが提示され、それらを二人のキャラクターが対話を通じて解いていく。このあたりから本のタイトルの▢に(はこ)というルビが振られている意味が見えてくる。(ます)や(しかく)ではなく(はこ)なのだ。
第八章の「箱庭」で開陳される哲学的な思弁、そして最終ページの見開きをもって、読者は▢(はこ)の意味するところを知る。
ネガティブ・サイド
第二章の「放課」は正直なところ微妙に感じた。いや、自分も小学生の時にこれをやったことがあるが、何も起きなかったぞ(起きるわけがないのだが)。また、この怪異はおそらく今の30代未満にはほとんど通じないのでは?第五章の鮮やかさとキレの良さとは正反対である。
第六章の「穴埋め作業」のキャラ二人のアイデンティティもぼかしたままで良かったのでは?
総評
ジャンルとしてはメタミステリとなるだろうか。山口雅也や竹本健治のファンならば買いだろう。どことなく『 近畿地方のある場所について 』にも通じるテイストだが、竜頭蛇尾で終わるどころか、軽い吐き気を催させるような終わり方をする本作の方が面白さでは上。ぜひ梨の他の作品も渉猟してみたいと思う。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
a bother
迷惑や邪魔の意。第一章のタイトルだが、これは「お邪魔します/お邪魔しました」の邪魔と解釈すべきなのだろう。英語では「お邪魔します」は Excuse me. だが、「お邪魔しました」はちょっと難しい。I hope I wasn’t a bother. が近いか。ボスのパーティーなどに招かれた際の帰り際などに使ってみよう。
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