Skip to content

英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

  • Contact
  • Privacy Policy
  • 自己紹介 / About me

『アイ、ロボット』 -近未来にあり得たかもしれない世界への警鐘-

Posted on 2018年8月22日2020年2月13日 by cool-jupiter

アイ、ロボット 45点

2018年8月13日 レンタルDVD観賞
出演:ウィル・スミス ブリジット・モイナハン ブルース・グリーンウッド アラン・テュディック
監督:アレックス・プロヤス

採点はあくまで現在の視点からによるもの。ある程度、アンフェアであることは意識している。AIの発展・発達が目覚ましく、一方で人型ロボットの開発は端緒についてから久しいものの、人間のような動きをすることができるロボットを生みだすことの難かしさばかりを研究者は思い知らされるばかりだと言う。技術の進歩は曲線的に、しかも我々に思い描いていたのとは異なる方向に進むのが常であるようだ。『2001年 宇宙の旅』が描いた世界は到来しなかったし、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が描き出した2015年はやってこなかった。漫画『ドラえもん』や『火の鳥 生命編』を挙げるまでもなく、我々はロボットの到来と進化を予測していた。それは巨匠アイザック・アシモフにしても同じだったわけだが、ロボットという存在に対して我々は心のどこかに生理的な嫌悪感を抱くようにプログラムされているのかもしれない。いわゆる「不気味の谷現象」である。このことにいち早く気が付いていたクリエイターの一人にアレックス・ガーランド監督で、その作品の『エクス・マキナ』はまさに不気味の谷現象を我々に引き起こす。『ターミネーター』もこの系列の作品と呼んでも差し支えはなさそうだ。本作も同じで、スプーナー刑事(ウィル・スミス)も「何故こいつらに顔をつけた?」とカルヴィン博士(ブリジット・モイナハン)に問いながら、ロボットに発砲するシーンがある。観る者に嫌悪感を催させるシーンで、その嫌悪感は顔のあるロボットを破壊することから来るのではなく、中途半端に人間に似ているものが存在することから来るのだ。ゾンビがその好例だ。我々は死んでいるはずのものが動くから恐れるのではない。ゾンビという人間の姿かたちをしたものが、およそ人間らしさを感じさせない動きを見せるところに、我々は不安と恐怖を掻き立てられるのである。実際に、Jovianが本作で最も嫌悪感や恐怖感を催したシーンは、『BLAME!』の大量のセーフガードさながらに、人間の形をしたロボット群が昆虫のような動きで建物の外壁をよじ登るところであった。

本作の主題はロボット三原則であるが、その奥に潜むテーマは複雑多岐である。上に挙げたような手塚作品のビジョンもあれば、『ブレードランナー』にも通底する人間と非人間の境、人間と非人間の混じり合うところ、人間と非人間の交流もある。このような世界が数年というスパンで到来することは到底なさそうだが、ありうべき他の世界線として考えるならば、全ての優れたSFがそうであるように、思考実験の場と機会を提供してくれるものとしての価値は十分にあった。

難点はあまりにもCGのクオリティが低いこと。同時代に観賞する分には良かったのだろうが、それでも本作に先行して作られた『マイノリティ・リポート』の方が遥かに自然に近いCGが見られたことから、残念ながら減点が生じてしまう。

カルヴィン博士はアンセル・エルゴートとシャーリーズ・セロンを足して2で割ったような顔が印象的。そんなに映画は出てないのね。妙に存在感があって、良い女優さんだと思うので、もう少しスクリーンに出てきてほしいものである。

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村 

Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2000年代, D Rank, SFアクション, アメリカ, ウィル・スミス, 監督:アレックス・プロヤス, 配給会社:20世紀フォックス映画

投稿ナビゲーション

Previous Post『君の膵臓をたべたい』 -生きることの新たな意味を伝える傑作-
Next Post『主人公は僕だった』 -ライトノベル風味のタイトルに騙されることなかれ-

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

最近の投稿

  • 『 28日後… 』 -復習再鑑賞-
  • 『 異端者の家 』 -異色の宗教問答スリラー-
  • 『 うぉっしゅ 』 -認知症との向き合い方-
  • 『 RRR 』 -劇場再鑑賞-
  • 『 RRR:ビハインド&ビヨンド 』 -すべてはビジョンを持てるかどうか-

最近のコメント

  • 『 i 』 -この世界にアイは存在するのか- に 岡潔数学体験館見守りタイ(ヒフミヨ巡礼道) より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に cool-jupiter より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に 匿名 より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に cool-jupiter より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に イワイリツコ より

アーカイブ

  • 2025年5月
  • 2025年4月
  • 2025年3月
  • 2025年2月
  • 2025年1月
  • 2024年12月
  • 2024年11月
  • 2024年10月
  • 2024年9月
  • 2024年8月
  • 2024年7月
  • 2024年6月
  • 2024年5月
  • 2024年4月
  • 2024年3月
  • 2024年2月
  • 2024年1月
  • 2023年12月
  • 2023年11月
  • 2023年10月
  • 2023年9月
  • 2023年8月
  • 2023年7月
  • 2023年6月
  • 2023年5月
  • 2023年4月
  • 2023年3月
  • 2023年2月
  • 2023年1月
  • 2022年12月
  • 2022年11月
  • 2022年10月
  • 2022年9月
  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月

カテゴリー

  • テレビ
  • 国内
  • 国内
  • 映画
  • 書籍
  • 未分類
  • 海外
  • 英語

メタ情報

  • ログイン
  • 投稿フィード
  • コメントフィード
  • WordPress.org
Powered by Headline WordPress Theme