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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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『 シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 』 -少年よ、大人になれ-

Posted on 2021年6月30日 by cool-jupiter

シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 75点
2021年3月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:緒方恵美 林原めぐみ 宮村優子 坂本真綾
監督:鶴巻和哉 中山勝一 前田真宏
総監督:庵野秀明

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仕事が忙しすぎるのだが、週末ぐらいはなんとか時間を作れるので、公開終了前に再鑑賞。

 

あらすじ

葛城ミサト率いるヴィレはパリ市街をコア化から解放するために使徒もどきと激闘を繰り広げていた。その頃、カヲルを失って放心状態になっていたシンジ(緒方恵美)は日本の第三村で大人になったトウジやケンスケと再会して・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210630013507j:plain

ポジティブ・サイド

冒頭の使徒もどきvsヴンダーの搭載艦&マリは圧巻のスペクタクル。この部分だけでも繰り返し観たいと思わせる迫力。

 

大人になったトウジやケンスケが、壊れてしまった世界の再建に微力ながら貢献している様に、本来の大人のあるべき姿を見る思いである。子ども=性と労働から疎外された存在であるなら、大人とは性と労働に従事する存在だから。

 

シンジの立ち直りと綾波のそっくりさんやアスカとの精神的な別れを経て、父親であるゲンドウを精神的に殺すに至る過程。そして海という母の羊水の象徴から抜け出て、また別の海=マリに向かっていくという流れに再鑑賞でシンクロできた。綾波、式波、真希波の軍艦名ばかりが注目されるが、マリ=Mari=Mare=イタリア語の海の複数形だということも強調されてよいはずだ(牽強付会という自覚はある)。

 

ゲンドウとシンジの一騎打ちは初回鑑賞時と同じく笑った。再鑑賞では、精神的な意味での父親殺し以上に、あまりにも自分の欲望に素直でいるために結果として素直になれないという逆説的な自分の心の葛藤を表しているように感じられた。

 

結局のところ、シンジ=庵野秀明の自己投影だという構図が最後まで維持された。いや、『 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に 』で「現実=夢の終わり」と明言した、あの嫌な庵野がいなくなったと言うべきか。嫌な庵野というのは、現実で満たされない自分を虚構の作品の中でも満たそうとしない屈折した精神構造の持ち主という意味である。庵野も大人になったということか。mellowになったと言い換えてもいい。エヴァンゲリオンが存在しない世界というのは、もはや胎内回帰を必要としない世界ということで、男が母親離れするのは妻ができた時と相場が決まっている。マリ=安野モヨコだと巷間よく言われることだが、正にその通りなのだろう。おめでとう、碇シンジ=庵野秀明。君は自慰にふける少年を脱して、愛し愛される大人になったのだ。

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ネガティブ・サイド

サクラたちがシンジをどこまで敵視する描写がくどい。トウジからの手紙を受け取ったサクラがちょっと改心、あるいは回心するような描写が欲しかったと思う。

 

今更ケチをつけてもしょうがないが、宇多田ヒカルの歌う『 One Last Kiss 』や『 Beautiful World 』のストレートすぎる歌詞が新世紀エヴァンゲリオンの世界観に合わないように感じる。どうしようもなく。『 残酷な天使のテーゼ 』や『 魂のルフラン 』、『 心よ原始に戻れ 』が持っていた強烈な寓話性が感じられない。

 

総評

びっくりしたのが、再鑑賞時の劇場の客の入り。底を脱したとはいえコロナ禍のただ中で4割ほど入っていた。そして観客のほとんど全員がリアルタイム世代のJovianよりも若かった。20歳前後と思しき女子やナード男子4人組など、どう考えても彼ら彼女らも再鑑賞組。リアルタイム世代以外でもファンになり、完結作品を何度もしっかり見届けるファンがいることを知って、邦画(アニメだが・・・)もまだ死んでいないと思わされた。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

doggo

犬のちょっと可愛らしい言い方。つまり、ワンコくんの試訳。たぶん、劇中の大部分でマリはシンジをpuppyと呼んでいるのだろうが、最後の最後だけはdoggoと呼んでいるような気がする。doggoは元々はインターネットスラングかつインターネットミームだったのだが、今では普通に会話でも使うようになった。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, アニメ, 坂本真綾, 宮村優子, 日本, 林原めぐみ, 監督:中山勝一, 監督:前田真宏, 監督:鶴巻和哉, 総監督:庵野秀明, 緒方恵美, 配給会社:カラー, 配給会社:東宝, 配給会社:東映

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