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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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『 守護教師 』 -鉄拳は全てを解決する-

Posted on 2021年3月27日 by cool-jupiter

守護教師 55点
2021年3月24日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:マ・ドンソク キム・セロン チン・ソンギュ
監督:イム・ジンスン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210327023940j:plain
 

エヴァの映画やテレビアニメ版ばかりを鑑賞して脳みそが少々疲れた。こういう時は、頭を空っぽにして鑑賞できる映画でリセットしたい。ということで、マ・ドンソクの映画をピックアウト。こちらも『 無双の鉄拳 』と同工異曲のマ・ドンソク映画だった。

 

あらすじ

元ボクシング東洋チャンピオンのギチョル(マ・ドンソク)は、暴力沙汰から連盟から追放されてしまった。そんな彼が見つけた仕事が地方の高校の学生主任。だが、そこは女子高生の家出が異様に多かった。そして教師たち、警察までもがそれを見て見ぬふりをしている。ギチョルは、次第に消えた友人を探すユジン(キム・セロン)と関わっていくことになり・・・

 

ポジティブ・サイド

マ・ドンソクの鉄拳は本作でも健在。けれども、彼の役者としての成長も見える。Jovianの嫁さんが本作のマ・ドンソクを観た瞬間に「これは善人やろ」と一言。ひょうきんなシーンではなかく、ニュートラルな表情をしていたが、確かにそれだけでキャラ属性が伝わってきた。もちろん剛腕もド迫力。普段から絶対ボクシングの練習をしているに違いない。それぐらい重心が低く、また背骨を軸にした左右フックを放っていた。アクションシーンはやられる側と相当綿密に打ち合わせして作っているのだろうなと思わせてくれた。

 

『 アジョシ 』の天才子役ソミを演じたキム・セロンが等身大の女子高生になっていた。多分、『 建築学概論 』のぺ・スジのように、正統派の美少女でありながら我々が怖気をふるうような罵り言葉を口にするコリアン・ビューティーになるのだろう。実際にその片鱗を序盤のヤンキー女子たち相手に発揮していた。つくづく思うが、韓国女子のたくましさには頭が下がる。本邦の女性たちがいわゆる「女性らしさ」から脱却できるのはいつなのか。その意味では『 地獄の花園 』にはちょっとだけ期待している。

 

ストーリーは単純明快だが、社会の闇、権力の闇を描くことを忘れないのが韓国映画の基本的文法である。悪い人間が存在する、ということではなく、悪い人間を生み出す土壌が存在する。それを国の恥、社会の恥だと言って無視する、あるいは隠すことは容易い。だが、それをエンターテインメントの種にして、世界に発信してしまうことには感心する。

 

本作は『 アジョシ 』が本来想定していた中年オヤジによる少女の救出劇の亜種だとして観るとなかなか興味深い。美女と野獣ではないが、美男子が美少女を救うのではなく、むさくるしいオッサンが美少女を救う。そこに教師と生徒という関係を持ってくることで違和感を中和している点も見事だ。マ・ドンソクがサラリーマン社会の論理で縛られてしまうところ、そうしたしがらみを全部振り切っていく終盤の流れはベタながら、誰にとってもそこそこ楽しめるものであることは間違いない。



ネガティブ・サイド

マ・ドンソクのキャラクターがはっきりしない。体育教師なのか、債権回収担当なのか。キャラの面白さはギャップにあるのだから、体育の授業で女子の扱いに手を焼くマ・ドンソクや、取り立ての際に女子高生にマシンガントークをかまされて言い負かされるマ・ドンソクを観てみたかった。そうすれば、その拳を振るう時のギャップがより大きくなる=意外性(我々にとってのではなくユジンら女子高生らにとっての)が大きくなり、物語をもっとダイナミックに動かしやすくなっただろう。

 

遅咲きのスター、チン・ソンギュもやや拍子抜け。『 犯罪都市 』での朝鮮族ギャングのNo.2という役で恐るべき存在感を発揮したのだから、それと同じくらいの迫力を出す役に仕上げるべきだった。あるいは監督がそのように演出するべきだった

 

最後の最後に巨悪をぶん殴れない展開というのもいかがなものか。この黒幕、『 トガニ 幼き瞳の告発 』の黒幕と同じく、めちゃくちゃ気持ち悪い御仁。そして『 トガニ 幼き瞳の告発 』でも、physical punishmentは受けなかった。マ・ドンソクの一番の魅力はその剛腕にあるのだから、ブッ飛ばせる相手はブッ飛ばしてほしいと切に願う。

 

総評

マ・ドンソクの映画である。それだけで分かる人は分かるだろうし、観たくなる人は観たくなるだろう。ただ、個人的には『 無双の鉄拳 』の方が面白かったかな。頭を空っぽにしたいときに向いている作品である。どちらかと言うと、マ・ドンソクのファンよりもキム・セロンのファン向けの作品かもしれない。コリアン・ビューティーはいつ見てもいいものである。

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

オッパ

お兄さん、の意。ただし血縁関係がなくても年上の親しみのある男性に使える語。そこらへんは日本語でも同じである。『 悪人伝 』でヒョン=兄と紹介したが、男性→年上の親しい男性の時はヒョン、女性→年上の親しい男性の時はオッパという具合に体系的に理解したい。

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, D Rank, アクション, キム・セロン, チン・ソンギュ, マ・ドンソク, 監督:イム・ジンスン, 配給会社:アルバトロス・フィルム, 韓国

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