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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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『 ゾンビランド:ダブルタップ 』 -安住の地とは土地ではない-

Posted on 2019年11月27日2020年4月20日 by cool-jupiter

ゾンビランド:ダブルタップ 70点
2019年11月24日 東宝シネマズ梅田にて鑑賞
出演:ウッディ・ハレルソン ジェシー・アイゼンバーグ エマ・ストーン ビル・マーレイ
監督:ルーベン・フライシャー

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まさかまさかの『 ゾンビランド 』の続編である。リアルタイムでは10年を経ているが、ストーリー上では2~3年という感じだろうか。その中でも、ウィチタの妹のリトルロックが最も変化が大きいのは理の当然である。本作は彼女の成長を契機に始まる。

 

あらすじ

コロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)、タラハシー(ウディ・ハレルソン)、ウィチタ(エマ・ストーン)、リトルロックの4人はゾンビを撃退しつつ生き抜いていた。無害なゾンビ、賢いゾンビ、気配を消すゾンビなど、新種のゾンビも誕生する中、コロンバスの独自ルールは72に増えていた。だが、思春期を過ぎたリトルロックは父親面をするタラハシーをあまり快くは思っておらず・・・

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ポジティブ・サイド

オープニングシーンから笑わせてくれる。レディ・コロンビアがトーチでゾンビをぶん殴るのである。オープニングロゴに細工を施して観客を映画世界に誘うのは、これまでは20世紀フォックスの専売特許だったが、コロンビアもこの流れに乗ってくれた。歓迎したいトレンドである。

 

相変わらずゾンビをぶっ殺しまくっている。デ・パルマ・タッチのスローモーションに『 マトリックス 』のバレットタイムで描くのは、ルーベン・フライシャーが前作から変わらず採用する撮影技法で、こういうものにホッとさせられる。前作と本作がキャラクター以外の面でも地続きになっていると感じられるからである。

 

本作ではリトルロックが家出をする。いや、家といってもホワイトハウスに勝手に住みこんでいるだけなので、厳密には彼ら彼女らの家ではない。しかし、リトルロックの行動は家出以外に表現のしようはない。そのリトルロックを追うウィチタと、それを追うコロンバスとタラハシー。そこで出会う様々な人々とのドラマが本作の肝である。

 

ウィチタといい仲になったコロンバスであるが、基本的な童貞気質は変わっていない。プロポーズとは自分が盛り上がっている時に行うものではなく、相手が盛り上がっている時にするものである。そこのところを分かっていないコロンバスは、ゾンビ世界ではいっぱしのファイターかもしれないが、現実世界ではコミュ症かつ非モテとなるだろう。そこらへんの成長のなさが安心感をもたらしてくれる。

 

今作ではタラハシーにも春らしいものが訪れる。プレスリーをこよなく愛する彼が、女性から“I feel my temperature rising”などと囁かれては、奮い立たないわけがないのである。そして、今作のアクションでも彼が主役を張ってくれる。中盤の似た者同士バトルと最終盤の大量ゾンビとのバトルは見応えがある。特に中盤のバトルはワンカットに見えるように巧みに編集されているが、それによってスリリングさが格段に増している。また最終バトルはまさかの諸葛孔明の八卦の陣とタラハシーのルーツを融合させた、びっくりの作戦である。

 

途中で合流してくるパッパラパー女子がアクセントとして機能しているし、この頭と股がゆるめの女子のおかげで、観客はリトルロックのことを責めるのではなく心配してしまう。ややご都合主義的ではあるが、ゾンビ世界ではこういうキャラが存在しても全く不思議ではない。

 

前作から本作にかけて、この奇妙な4人組は疑似家族を形成するわけだが、それは安住の地を求める旅でもあった。ゾンビという恐怖の存在を、絶対に相容れない他者の象徴だと思えば、なんとなく現実世界とリンクしてくるものもあるのではないだろうか。血の繋がりではなく、育んだ絆の強さ。それが人間関係の根本なのかもしれない。

 

ネガティブ・サイド

コロンバスのルールが増えるのはよいとして、それをしっかり順守しよう。後部座席のっチェックは基本中の基本ではないか。ジェシー・アイゼンバーグ本人もルーベン・フライシャー監督も、スタッフの誰も気付かなかったのだろうか。

 

せっかく新種のゾンビも出てきたというのに、紹介されただけで終わってしまったゾンビもいる。なんと不遇な存在であることか。そのゾンビの名前を知れば、某国の映画ファンは歯痒さを覚えるのだろうか。

 

この世界で本当にゾンビを寄せ付けない楽園を築こうとするならば、バリケードだけでは不足だろう。バリケードの内側に堀を作り、さらに跳ね橋を設置するべきだ。平和主義者のヒッピーらしいといえばらしいのかもれしれないが、よくあれで生き延びることができたなと逆の意味で感心させられた。ゾンビの進化に合わせて、人間も進化しなくてはならない。

 

総評

前作に負けず劣らずのユーモラスなゾンビ映画である。本作からいきなり鑑賞する人は少数派だろう。しっかりと前作を鑑賞した上で臨むべし。そうそう、エンドクレジットが始まっても、絶対に席を立ってはいけない。本作最大の見せ場は最後の最後にやってくるからである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

You’ve got to snap the f**k out of it.

『 影踏み 』でも紹介したsnap out of itが本作で使われている。リトルロックを追ってウィチタが出て行ったことにいつまでもウジウジしているコロンバスに対して、タラハシーが上の台詞を言い放つ。Fワードが入っているのはご愛敬。このFワードを正しく使えるようになれば、英語中級者でコミュニケーション上級者である。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, ウッディ・ハレルソン, エマ・ストーン, コメディ, ジェシー・アイゼンバーグ, 監督:ルーベン・フライシャー, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンターテインメント

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