シークレット・チルドレン 禁じられた力 25点
2019年10月28日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ティモシー・シャラメ キーナン・シプカ
監督:アンドリュー・ドロス・パレルモ
傑作『 君の名前で僕を呼んで 』のティモシー・シャラメに、怪作『 A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー 』で撮影を務めたアンドリュー・ドロス・パレルモが監督した作品ということで、TSUTAYAで借りてみた。シネ・リーブル梅田での上映をスルーしたのは正解だった。これは、一部の好事家だけが観るべき作品である。
あらすじ
ザック(ティモシー・シャラメ)とエヴァ(キーナン・シプカ)の兄妹は、両親と共に人里離れた農地に暮らしている。二人にはテレポーテーション能力があった。父親は妻の病気は子ども達の異能の力に対する神罰であると考えていた。そして、妻の病死を機に父はエヴァを追い出し、ザックを虐待するようになり・・・
ポジティブ・サイド
BGMを極力抑え、自然豊かな景色を背景に淡々と繰り広げられる家族の生活は、どこか『 君の名前で僕を呼んで 』に通じるものがある。自然の音を聴かせることで、画面に映っている以上の奥行きを想像できるようになる。基本的な技法であるが、効果的に使っている監督は多数派ではない。
一種のクローズド・サークルで展開するサスペンスという点では『 イット・カムズ・アット・ナイト 』にも似ているし、父親が暴力衝動に駆られそうになるという緊張感をゆっくりねっとり盛り上げようとする展開は『 幼な子われらに生まれ 』に通じるところがある。
印象に残ったのはそれだけだった。
ネガティブ・サイド
父親が子らに与える折檻が、まず怖くない。というか笑える。一見すると身動きが取れないように思えるが、服さえ犠牲にすれば簡単に脱出できるのではないか。それとも、小さい頃から釘と金槌がトラウマになるように躾けられていたのか。いや、そんな描写も演出もなかった。
頭のいかれた親父といえば『 シャイニング 』が白眉であるが、こちらの親父もそれなりに怖い。しかし、妻を想う心は一際に強い。だったら、さっさと病院に連れて行け!または医者を呼べ!と何度か思わされてしまった。
色々とノイズ的なシーンも多かった。鶏を追いかけるのは『 ロッキー2 』へのオマージュなのかモンタージュなのか。そして、あれだけ自然に囲まれ、農園を営んでいて、鶏が目隠しすると寝てしまうのを知らない妹。本当に野生児なのか。リアリティが欠如している。
外の世界で妹が体験することも、特に真新しいことは何もなし。脚本にも問題があるのだろうが、パレルモ氏は、撮影はできても監督は難しいのかもしれない。
総評
ティモシー・シャラメのファン以外には観る意味はない。隔離されて暮らす超能力兄弟ならば、映像もされた小説『 NIGHT HEAD 』の方が遥かに面白い。静かな超能力映画を鑑賞したい向きには『 テルマ 』をお勧めしておく次第である。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
between you and me
「ここだけの話だが」、「これは秘密にしてほしいのだけれど」のようなニュアンスである。This is between you and me, but I am thinking of running in the election. などのように使う。難しいことは何もない表現だが、これを言える、または聴けるということは、その人が信頼に足る人である、あるいは誰かを信頼できているということを意味する。英語の難易度としては初級だが、コミュニケーションの難易度としては上級だろう。