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『 アントマン&ワスプ 』 -小市民ヒーロー奮闘記-

Posted on 2018年9月19日2020年2月14日 by cool-jupiter

アントマン&ワスプ  65点
2018年9月17日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ポール・ラッド エヴァンジェリン・リリー マイケル・ダグラス ウォルトン・ゴギンズ ボビー・カナベイル ハナ・ジョン=カーメン ミシェル・ファイファー ローレンス・フィッシュバーン
監督:ペイトン・リード

f:id:Jovian-Cinephile1002:20180919025552j:plain

  • 『アントマン』のプロットに関する記述あり

これは秀逸な作品である。前作『アントマン』では、小さくなることのメリットと蟻の大群を操ることのポテンシャルを我々に見せてくれたが、今作はそれらの地平をさらに押し広げた。前作は、小さいアントマンに合わせて相手も小さくなったが、今作では等身大の人間たち、さらには「ゴースト」を相手に戦いを繰り広げ、量子の領域にもダイブする。盛りだくさんである。製作者のサービス精神を感じる。ただ、ちょっとばかりそのサービス精神が旺盛すぎたかもしれないが。

前作のラストでスコット(ポール・ラッド)とホープ(エヴァンジェリン・リリー)は熱い抱擁とキスを交わしたわけだが、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でキャップ側についてアイアンマン達と闘うということでホープは激怒。もともとアントマンの技術をトニー・スタークにだけは絶対に渡したくないハンク(マイケル・ダグラス)とホープからすれば、スコットのシビル・ウォーへの助太刀参戦は許しがたい背信行為であった。色々とあった末にスコットはFBIの監視下に置かれ期限付きの自宅軟禁。あと3日で解放という時に、量子領域からの奇妙なメッセージを受け取る。そのことをハンクに知らせたスコットは、ホープの手引きで新たなる戦いにその身を投じることになる。

今回のアントマンは、ゴースト、裏社会の武器商人と闘いながら、ハンク・ピム博士の量子世界への初代ワスプ(ミシェル・ファイファー)救出ミッションまでと、てんこ盛りの内容である。目を引くのは、やはりアクションシーンである。前作でもそうだったが、小さくなることのポテンシャルには計り知れないものがある。人間相手の近接戦闘で一方的に相手の攻撃を避けながら、こちらは殴りたい放題というのは、単純に見ていて爽快だし痛快だ。小さくなる、元に戻る、をコンマ数秒で繰り返しながら敵を叩きのめしていくのは、これまでのスーパーヒーローにはなかった戦い方で、この能力を使ってのさらなるアクションの飛躍が今後に期待される。またアントマンのアントマンたる所以、蟻の大群の統率力もパワーアップ。前作レビューで、蟻という生物の持つポテンシャルについてものしたが、本作では蟻さんたちが大暴れしてくれる。ゴーストの量子ゆらぎ状態も、SFのジャンルでは真新しいものではないが、それを納得できるビジュアルに落とし込み、動かすというのが本作のチャレンジである。そして、それはある程度までは成功を収めた。最後に、ハンクがダイブする量子領域では、おそらくだが「アベンジャーズ」の今後の展開への重大な示唆が与えられていたように思う。これらはプラスの面として大いに評価できる。

一方で、これらの要素がネガティブに作用してしまっていることも否めない。例えば、前作ではイエロージャケットがあったことで、アントマンの戦いにもスリルが生まれた。今作では、しかし、武器商人の一味相手にはそうしたスリルはなかった。当然だ。スリルは、相手が対等かそれ以上でないと生まれない。なので、今回は小さくなったり大きくなったりでメリハリをつけた。が、相手が複数いることでややプロットが複雑になり、アクションは増えてもエンターテインメント的要素は増えなかった。同じく、ゴーストというのは魅力的な存在であったが、せっかくトニー・スタークやブルース・バナー以上の天才、ハンク・ピムがいるのだから、その存在の科学的根拠についてもっと語らせてほしかった。嘘を嘘とわかって楽しめるものが、スーパーヒーロー映画を愛でているのだ。量子トンネルも然りだ。前作でハンクは、アントマン・スーツの技術の根本は、原子間の距離を縮めることだと言っていた。それは原子核と電子の間の距離を縮めるということとほぼ同義のはずである。しかし、量子の領域は、それよりもさらに小さい。アントマンはサブアトミックの領域へと永遠に縮小し続けていくことの矛盾を、似非科学でよいから説明をしてほしかった。また量子世界のビジュアルも少し弱い。『LUCY/ルーシー』のクライマックスのビジュアル以上のイマジネーションを炸裂させなければならなかったが、極めて凡庸なイメージに留まったのが残念でならない。

それでもスコットの一人二役やコソ泥仲間のルイスのマシンガントークやギャグ、鉄拳は健在で、こういった連中と手を組むところがアントマンが正に他のヒーロー連中と一線を画すところであり、魅力なのである。色々と無い物ねだりをしてしまったが、それだけ面白い作品であるし、注文をつけたくなるポテンシャルを秘めたフランチャイズなのである。そうそう、劇場でも注意されるが、絶対にエンドクレジットの終わりまで席を立ってはならない。劇場鑑賞前にトイレは必ず済ませ、鑑賞中の水分補給はそこそこに留めておくこと。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, SFアクション, アメリカ, エヴァンゲリン・リリー, ポール・ラッド, マイケル・ダグラス, 監督:ペイトン・リード, 配給会社・ディズニー

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