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デッドプール2

Posted on 2018年5月31日2020年1月10日 by cool-jupiter

デッドプール2 75点

2018年5月31日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
主演:ライアン・レイノルズ ジョシュ・ブローリン
監督:デビッド・リーチ

 

* ネタバレ部分は白字

『アトミック・ブロンド』という、ありえなさそうで、おそらく実際はあったのだろう極限状況で、実際にありそうな、つまり主人公が次から次に雑魚敵を屠っていくのではなく、一人また一人と苦労しながら倒していく、そんなファイト・シーン、アクション・シークエンスを撮り切ったデビッド・リーチがすったもんだの末にデッドプールの続編を撮影するとなると、確かに一抹の不安はあった。しかしそれは杞憂であった。

前作の『デッドプール』でこれでもかと取り入れられていた Fourth Wall Break 、いわゆる第四の壁破りは今作では鳴りを潜めていた。が、その理由を我々はエンディングで知る。デッドプールは破ってはいけないものを次々に破っていく。それは因果律であったり業界のお約束でもあったりする。エンドクレジットのシーンでは絶対に席を立ってはいけない。

前作ではラブ・ストーリーであることを悪党を串刺しにしながら高らかに宣言していたが、今作でもやはり悪党をぶちのめしながらファミリー・フィルムであることを宣言する。前作でウェイドとヴァネッサが、どれだけ自分が家族に恵まれてこなかったかを競う場面が印象的だったが、今作はその家族の意味を追求しようというわけか。その思惑はしかし、良い意味で裏切られる。

冒頭のアクション・シーンでは前作の冒頭およびクライマックス並みのグロシーンがあるので、耐性が無い人は注意されたい。ただし本当に注意しなければならないのは、冒頭のクレジットシーンである。前作では笑える人には笑える、笑えない人にはさっぱり笑えないクレジットシーンから物語が始まったが、今作は観客を混乱の只中に叩き込む。なぜ、なぜ、なぜ・・・ 

コミックに詳しくない、あるいはトレイラーをじっくり観てきた人ほど、ある意味で裏切られる展開が待っている。だが、デッドプールが何故その選択肢を選んだのかについて理解できないという場合には、今作が家族映画であるということを思い出してほしい。家族を構成するものは何か。夫婦だけでは普通は家族とは言わないのだ。実際に英語で “I have a family of four.” と言うと、「自分には子どもが4人います」という意味になる。ウェイド・ウィルソンにとっての家族の意味を考えることが非常に重要である。

アクション面では期待を裏切らない。元々、『ジョン・ウィック』シリーズの制作に関わっていたリーチ監督だけに、アクション・シークエンスには常に驚きと興奮がある。冒頭の刀を使ったアクションシーンは『キル・ビル』を、ケーブルとのバトルシーンは『ターミネーター2』を、第3幕のCGバトルは『インクレディブル・ハルク』を思わせる(実際にその直前のシーンで、あるキャラがアボミネーションという言葉を口にする)。にも関わらず既視感に捉われるわけではないというのが監督としての力量を物語っている。パクリとオマージュの境界線がここにある。もちろん、『 レディ・プレーヤー1 』ほどではないが、今回も前作に続いて小ネタが満載である。DCのスーパーマンに言及するのは朝飯前で、ジョージ・マイケル、アカデミー賞選考委員、さらにはカナダという国までディスっていくのは痛快である。更なる続編は、黒澤明作品にインスパイアされているとの情報もあるので、単なるネタだけではなくシネマトグラフィーの面からも大いに期待できそうだ。前作からのキャラも再登場し、さらにはX-MENシリーズについてもある程度知っておかなければならないというハードルはあるが、それを差し引いても満足できる出来だ。

最後に本作を観る際に、ある意味で最も重要なアドバイスを。ビルの壁に注意をしてほしい。そう、『 ベイビー・ドライバー 』で冒頭、ベイビーがコーヒーを買うシーンを観る時の、あるいはそれ以上の集中力で、ビルの壁に注意を払って欲しい。以上である。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, ジョシュ・ブローリン, ライアン・レイノルズ, 監督:デビッド・リーチ, 配給会社:20世紀フォックス映画

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