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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 藤原季節

『 くれなずめ 』 -青春を終わらせるな-

Posted on 2021年5月30日 by cool-jupiter

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くれなずめ 70点
2021年5月27日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:成田凌 高良健吾 若葉竜也 藤原季節 浜野健太 目次立樹  
監督:松居大悟

 

プロデューサーの和田大輔、なんとJovianの大学の後輩である。隣の寮に住んでいた脳筋の変人だったが、いつの間にやら文化人かつ商売人になっていた。今後もプロデューサーとして活躍していくと思われるので、和田大輔プロデュース作品には是非とも注目してくだされ。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210530110449j:plain

あらすじ

友人の結婚式のために久しぶりに集まった吉尾(成田凌)や明石(若葉竜也)らだったが、余興が盛大にすべってしまった。気まずい空気に包まれたまま、彼らは二次会までの時間をつぶそうとする。そして、かつての自分たちの友情を回想していき・・・

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ポジティブ・サイド

タイトルに反応して、「くれ~なず~む街の~」と口ずさむのは立派なオッサンだろう。くれなずむというのは、今の季節だと午後6:30から午後7:00ぐらいの逢魔が時が続いていく感じを指す。結婚式に出席するということは、同年代が結婚しつつあるという意味で、独身貴族の時期の終わりを予感させる。しかし、まだ一人を楽しみたい。まだ完全に大人になりたくない。そのような若者のパトスを象徴的に表すタイトルである。

 

成田凌や若葉竜也、藤原季節など売り出し中の若手のエネルギーがそのまま画面にみなぎっている。そこに混じる高良健吾が『 あのこは貴族 』の時と同じく、 condescending  な感じを出すか出さないかのギリギリの線の演技で、若者と大人、フリーターと社会人の境界線上のモラトリアム人間を好演していた。かつての親友たちが各々に成長していたり、あるいは社会参加を拒んでいたり、まるでかつての自分や自分の友人たちとの関係を思い出す世代は多いだろう。特にJovianのようなロスジェネ世代には、その傾向が強いのではないか。

 

アホな男たちのアホな乱痴気騒ぎが延々と続くが、それぞれがロングのワンカットになっているのが印象深い。ワンカットによって場の臨場感が高まるし、観ている側もその場に参加している感覚が強くなる。対照的に回想シーンでは随所にカットを入れ、カメラのアングルを変えていく。まるで記憶を色々と編集しているかのように。こういうことは結構多い。友人の結婚式などに参加して、昔の写真や映像を観ると、自分の記憶と実は少し違っていたりすることが往々にしてあるからだ。

 

主人公である吉尾とその悪友たちの現在のまじわりが、過去の様々なエピソードに繰り返し、あるいは焼き直しになっているところが面白く、リアリティがある。野郎どもの友情というのは時を超える、あるいは時を止めるのだ。おそらく本作の登場人物たちのような30歳前後の男性には、非常に突き刺さる者が多い作品であると思う。

 

割とびっくりするプロットが仕込まれているが、開始数分で非常にフェアな伏線が張られているので、これから鑑賞するという人は、そこに注意を払えれば吉である。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210530110536j:plain

ネガティブ・サイド

前田敦子は悪い演技を一切していなかったが、これは大いなるミスキャストではなかったか。観た瞬間から「ああ、このキャラの因果はこれだな」と想像がつく。

 

ある時点で舞台が切り替わるが、そこからの展開がどうしようもなく陳腐で、映像としてもお粗末だ(ガルーダ・・・)。下手なCGやVFXなど使わず、素直に高校時代の回想シーンと同じで良かった。原作の舞台のノリを持ってくるのなら、それを映画的に翻案しなければならない。映画→舞台→映画という感じで、トーンの一貫性を大いに欠いていた。

 

また結婚式場から二次会の会場に向かうはずの最終盤の「くれなずむ街」のシーンが、どう見ても盛り場からは遠く離れた場所。ロケーションありきで、絵的なつながりが無視されていた。

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総評

藤原季節が出演していること、そして青春の象徴との別れという意味では『 佐々木、イン・マイマイン 』の方が個人的には面白いと感じた。だが決して駄作ではない。良作である。モラトリアムが長くなった現代、青春ときっぱり決別するのはなかなか難しい。むしろ、青春をできるだけ長く生き続けようとする、つまり日が暮れようとしていながらも、まだまだ暮れないという人生を送る人が増えている。日暮れて途遠しとなる人も同じくらい増えているように思うが、それでも今という時代にを生きる人間にエールを送る作品に仕上がっている。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

afterparty

「二次会」の意。これは実際にネイティブも頻繁に使う表現である。ちなみに三次会はafter-afterpartyと言う。大学生の頃にアメリカ人留学生に教えてもらった時は、”You gotta be kidding me, right?”と反応してしまった。嘘のようだが、本当にそう言うのである。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, 成田凌, 日本, 浜野謙太, 監督:松居大悟, 目次立樹, 若葉竜也, 藤原季節, 配給会社:東京テアトル, 青春, 高良健吾Leave a Comment on 『 くれなずめ 』 -青春を終わらせるな-

『 佐々木、イン、マイマイン 』 -He lives in you-

Posted on 2020年12月2日2020年12月6日 by cool-jupiter
『 佐々木、イン、マイマイン 』 -He lives in you-

佐々木、イン、マイマイン 75点
2020年11月29日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:藤原季節 細川岳 遊屋慎太郎 森優作 河合優実
監督:内山拓也

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このタイトルのインパクトは大きい。『 我が心の佐々木 』でもなく『 佐々木よ、お前を忘れない 』でもなく、『 佐々木 イン マイ マインド 』でもなく、『 佐々木、イン、マイマイン 』。なんかよく分からんが、凄いタイトルであることだけは分かる。そして中身も負けず劣らずに凄かった。

 

あらすじ

役者として芽が出ない悠二(藤原季節)は、職場で偶然、高校の同級生で親友だった多田(遊屋慎太郎)と再会する。変わっていく他人。変わっていない自分。それを意識する悠二は、佐々木(細川岳)という奇妙な親友のことも思い起こしていき・・・

 

ポジティブ・サイド

何というか、まるで自身の高校時代、そして紆余曲折あった20代をまざまざと見せつけられたように感じた。もちろん、悠二の人生とJovianの人生はまったく異なるものだが、この物語には普遍性がある。プロット自体はありふれたもの。夢を追い求めているものの、その夢に届かないまま現実に埋没していく男が、過去の輝いていた、少なくとも楽しんでいた、笑えていた時期を思い起こして、今を生きるためのエネルギーを得るというもの。読み飽きた、見飽きた物語である。では、何が本作をユニークにしているのか。

 

それはタイトルロールにある佐々木である。誰しも中学や高校、または大学の同級生に「そういえば〇〇というアホな奴がいたなあ」と思い出せることだろう。だが、本作で映し出される佐々木はただのアホではない。無邪気に笑う少年で、苦悩する男で、血肉のある人間なのだ。回想シーンでは、佐々木のアホな面ばかりが強調されるが、真に見るべきはそこではない。一昔前の言い方をするならば母親のいない欠損家庭の育ちであり、父親も家にはあまり帰ってこず、命綱はカップラーメンという高校生である。佐々木コールでスッポンポンになる姿は微笑ましいと同時に痛々しい。下の名前を呼んでくれる存在がいないのだ。

 

『 セトウツミ 』の川べりでのしゃべりのように、家でゲームをし、球にバッティングセンターに行く4人組。親友であることは間違いない。だが、上京する者あり、地元に残って就職する者あり、地元に残って就職しない者もありと、いつの間にか離散してしまっている。このあたりの描写が中年には結構きつい。身につまされる思いがする。あの友情はどこに行ってしまったのか。出会えば幼馴染のように一気に昔の関係に戻れるが、一方がスーツで既婚、もう一方がヨレヨレの私服でバイト暮らしでは、その関係性も昔のままのようにはなかなか行かない。そうした友情の在り方を本作は一面では問うている。その反面、そうした友情を愚直に、無邪気に、馬鹿正直なまでに大切にし、ずっと心の中で維持し続けてくれる友人もいる。それが佐々木なのだ。佐々木とは、我々中年が本当ならば保っているべき友への感謝、信頼、期待などの気持ちの代弁者であり体現者なのだ。

 

佐々木という豪快で繊細な男を演じ切った細川岳のパフォーマンスは見事の一語に尽きる。親友、そして事実上の喪主とも言える女性と巡り合えたことは僥倖だったし、そのことを我が事のように嬉しく感じられた。芝居で芽が出ない悠二も、自分の生き方と「役者」としての生き様が交錯するラストも万感胸に迫るものがある。10代20代よりも30代40代50代にこそ突き刺さる、青春映画の傑作の誕生である。

 

ネガティブ・サイド

悠二と同棲している元カノの存在が微妙にノイズであると感じた。夢の中身を「今日はどんな世界だった」と尋ねるのも奇異だ。別れた女と同棲しているのなら、そんなロマンティックな会話は慎めよと思うが、どうやらそれがルーティンらしい。だったらフラれた後にも、しっかりと口説き続けろと悠二には言いたい。

 

村上虹郎に「僕はあなたの芝居が好きだ」と評された悠二の芝居の独特なところや印象的なところ、佐々木にも「お前は続けなきゃだめだ」と言われた演技力が、回想シーンでは一度も描かれなかったのは残念である。

 

総評

佐々木には実在のモデルがいるということには驚かないが、これが長編デビュー作という内山監督のポテンシャルには驚く。次作以降へも期待が高まる。傑作を作るのに有名キャストや有名監督は必ずしも必要だとは限らないという好個の一例である。仕事にくたびれた中年サラリーマンよ、疲れているかもしれないが劇場へ行こう。その労力以上のエネルギーを本作から受け取ることができる。保証する。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

chant

日本語で言うところの「コール」である。「佐々木コールやれよ!」というのは、“Do the Sasaki chant!”または“Break out the Sasaki chant!”となり、「イチローコールは忘れられない」というのも“The Ichiro chant is unforgettable.”となる。応援などで言うcall=コールは典型的なジャパングリッシュなので注意のこと。

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Posted in 国内, 映画, 未分類Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 日本, 森優作, 河合優実, 監督:内山拓也, 細川岳, 藤原季節, 遊屋慎太郎, 配給会社:パルコ, 青春Leave a Comment on 『 佐々木、イン、マイマイン 』 -He lives in you-

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