オンナのカタチ ヒトの形をして生まれながらも存在消されしモノの情景 50点
2023年4月15日 シアターセブンにて鑑賞
出演:福島拓哉 田中玲
監督:吉村元希
あらすじ
ある夫(福島拓哉)と妻(田中玲)の関係から、オトコのカタチとオンナのカタチについて考えていく・・・
ポジティブ・サイド
「見ないで」と女性たちが叫ぶシーンの男性の視線の映し方はリアルだったと思う。男性として白状するが、街中を歩く女性を見る際に何らかの品定め的な目になることは確かにある(毎回ではない)。まあ、イエス・キリストの時代から「情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである」と言われるぐらいなので、オトコの視線そのものに真新しいことはない。(一部の)女性はそうした男を顔ですらなく、目だけで認識するというのは何となく理解できる。男=視線と記号化されたわけだ。
最後に歩道で踊るバレリーナからは『 気狂いピエロ 』や『 ジョーカー 』を想起させられた。過剰ともいえる化粧は本心を隠す、あるいは他者からの理解を拒絶する姿勢の表れだろう。往来で無言で踊るバレリーナはシュールで、それゆえにシネマティックだった。
ネガティブ・サイド
全編にわたって開陳される吉村監督の思想は、正直なにも新しさがない。全部、栗本薫が『 タナトスの子供たち―過剰適応の生態学 』で喝破していたことである。見せ方はかなり斬新だと感じたが、見せられたものは陳腐だった。
オトコのカタチにかなり露骨な性的イメージを押し付けてくるが、これは必要だったか?オンナを記号として消費する視線は明確に拒絶しながら、男性=男性器というイメージを押し付けるのは politically correct なのだろうか。とてもそうは思えないが。
総評
物語性もエンタメ性も希薄。芸術に走りすぎだが、これなら映画ではなく舞台でやったらどうか?という出来映え。悪いとは思わないが、演出が映画ではなく舞台になっている。名もなき夫婦の生活の中に搾取され消費される女性像を読み取るのなら、(短編と長編を比較するのは愚だが)『 グレート・インディアン・キッチン 』の方が遥かに映画的かつ啓蒙的。4作の中で本作だけは波長が合わなかったようだ。
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shape
カタチの私訳。エド・シーランの代表的楽曲 “Shape of You” でも、男女それぞれに特徴的なカタチは shape が訳語にふさわしい。
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