メイド・イン・バングラデシュ 70点
2022年7月18日 塚口サンサン劇場にて鑑賞
出演:リキタ・ナンディニ・シム
監督:ルバイヤット・ホセイン
簡易レビュー。
あらすじ
シム(リキタ・ナンディニ・シム)は、工場で長時間ミシン操作をする労働者だったが、あるきっかけで労働組合の結成に動き出す。仲間を集めて、組合を作り、労働環境の改善や賃金のアップを勝ち取ろうとするシムだったが・・・
ポジティブ・サイド
インドからイスラム勢力が独立して出来たパキスタンから、さらに独立して生まれたバングラデシュ。つまり、コテコテのムスリムの国であるが、本作で描かれるシムとその同僚たちが、会社の幹部の男性たちに見せる「闘う姿勢」に圧倒される。ものすごい剣幕で迫っていくバングラデシュ女性を目の当たりにして、「あれ、これって韓国映画だったっけ?」とまで思わされた。その一方で、20代の女子らしいトークも随所で聞かれる。特に、会社経営者の右腕的な存在の男性と、シムの同僚は不倫関係にあるのだが、そのことを面白おかしく揶揄するシーンの女性たちのあけすけなトークに、「なぜ邦画は男女のあれやこれやをあけっぴろげに語れないのか」と慨嘆させられた。
過酷な労働よりも、我々が普段から当たり前のものとして享受している労働者の権利が、実は当たり前ではないということが、ドキュメンタリー風に活写される。映画的な巧みなカメラワークやBGM、効果音、過剰な演技などは一切なく、組合の結成に奮闘するシムと、彼女の前に立ちはだかる様々な障害(同僚や夫、役人まで)、そしてその障害を一つずつ乗り越えていく様はバングラデシュだけではなく、女性の地位向上を目指すあらゆる国や地域のエールとなるだろう。
ネガティブ・サイド
シムをたきつけた女性記者は、もっと全編にわたってシムを支援すべきではなかったか。
シムの夫も非常に勇ましい場面があったが、何故あそこで警備員をぶん殴らなかったのか。警備員に一発お見舞いして、その上でシムの腕を強引に引いていく、というのなら納得がいったのだが。
総評
我々が何気なく着ている服は、新疆ウイグル自治区の強制労働の賜物だったというニュースが近年報道されたのは記憶に新しい。が、中国だけではなくバングラデシュも低賃金かつ重労働で世界に衣料品を提供していることが分かった。複雑な気分にさせられる。しかし、最後の最後にシムが機転を利かせて勝利するシーンのカタルシスは本物。Jovian妻は満足していた。本作は男性よりも女性をエンパワーするようである。
Jovian先生のワンポイントベンガル語レッスン
ヘー
ベンガル語で Yes = はい、の意。劇中で何度も聞こえてくるので、すぐにわかる。言語は文脈とセットで覚えよう。