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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 志尊淳

『 さんかく窓の外側は夜 』 -ホラーならホラー路線に振り切れ-

Posted on 2021年1月25日 by cool-jupiter

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さんかく窓の外側は夜 45点
2021年1月23日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:岡田将生 志尊淳 平手友梨奈 滝藤賢一
監督:森ガキ侑大

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『 シン・ゴジラ 』で布告された緊急事態宣言も、現実の日本では二度目の発出。慣れとは怖いものだ。「コロナより怖いのは、私たち人間ね」と言いたくなるニュースがこの半年は多かった。「呪いよりも怖いのは人間なのか?」との問いを立てて本作を鑑賞した。

 

あらすじ

幼いころから幽霊が見えてしまう三角(志尊淳)は、ひょんなことから除霊ができる冷川(岡田将生)の相棒として仕事をすることになる。ある時、冷川の馴染みの刑事・半澤(滝藤賢一)から持ち込まれた事件を捜査しているうちに、ヒウラエリカ(平手友梨奈)という謎の女子高生の存在が浮上し・・・

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ポジティブ・サイド 

完全に偏見なのだが、『 ストレイヤーズ・クロニクル 』および『 秘密 THE TOP SECRET 』が超絶駄作(特に前者)だったため、岡田将生が主役級という作品は避けていた。が、『 星の子 』での演技はなかなかのものだったので、もうそろそろ無意味な偏見から解放されてもよい頃合いと思い、本作を鑑賞。演じやすい=特徴を出しやすいキャラクターという面に救われている面はあるものの、冷川という癖のある男を好演できていた。さわやかなイケメンというのは時と共に消費されつくして次世代に取って代わられるもの。今後は自信満々で鼻持ちならない系のキャラを極めていくのもいいだろう。『 君が君で君だ 』の向井理のようなチンピラ役にも挑戦してもらいたい。

 

除霊する時に、その霊の生前をうかがい知れるイメージを挿入するのは、なかなか親切な演出だと感じた。バディものの変形とはいえ、これほどあからさまに野郎同士の身体接触を決めのシーンとして描くのは、今日の目で見ると違和感というか、逆に新鮮味が感じあれる。

 

呪いや幽霊一辺倒になるのではなく、滝藤賢一演じる「信じない」キャラという存在が物語を引き締めている。J・ピール監督の『 ゲット・アウト 』でも主人公の親友が極めて堅実かつ現実路線の男(ギャグやユーモア担当でもある)だったおかげで、荒唐無稽なストーリーが“現実”と上手く対比された。滝藤演じる半澤刑事は、同じような作用を本作にもたらしている。

 

「簡単な除霊作業」の先に壮大な陰謀が隠されている、という展開も王道でよろしい。超自然的な現象の根本を人知の及ばない領域に求めるのではなく、そうした超自然的な現象をも人間の業の一部に組み込んでしまうというのは現代的である。カルトの存在を真正面から描くという意味では、本作は邦画の中では珍しいと言える。近年では『 スペシャルアクターズ 』や『 星の子 』ぐらいだろうか。本作のシリアスさは、これらの中間ぐらいである。

 

目に見えない存在が人間に害をなす。これまではそうした存在の代表は幽霊だった。今ではウィルスが大きく存在感を増してきており、こうした現実がフィクションである物語の奥行きを深めている。そうした見方をすれば、単なる中途半端なBL物語以上のものとして鑑賞することができる。

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ネガティブ・サイド

最初に劇場で予告編を観た時は、「すわ、オリジナル脚本か?」と思ったのだが、これもやはり漫画原作だった。そのせいか、各エピソードやキャラの背景描写が非常に底浅い、もしくはつながりやまとまりに欠ける。最も気になったのは、志尊淳演じる三角。幼少の頃に同級生が川で幽霊に襲われる(多分、死んだ)という経験がトラウマになっているのではないのか。にもかかわらず、冷川と組んでの最初の除霊作業で自身も水難事故に遭いかけるとか、おかしいだろう。さらに冷川から「霊はたいていは無害」とか説明されて反論もしないのは何故だ?例を見るたびに「うわっ」と驚くのも妙だ。散々見てきたでのははないのか。自身のトラウマ体験と折り合いをつけられずに生きてきたという背景が全く活かされていない。また、逆にラストの母親とのシーンでは空回りになってしまっている。原作の漫画はおそらく大部のエピソードでもってこのあたりの流れを描いているのだろうが、2時間足らずの映画では完全に描写不足。志尊淳の芝居(特に涙のシーン)は全編を通じてかなり良かっただけに、なおのこと物語とキャラと演技者の乖離が悪い意味で目立ってしまった。

 

平手友梨奈は『 響き-HIBIKI- 』の主人公役でインパクトを残したが、本作ではさっぱりだった。ミステリアスな雰囲気を出したいのは分かるが、それはその異能性ゆえに周囲から浮いてしまうことで放たれるもの。女子高生と言いながら、学校や同級生の描写がほとんどと言っていいほど存在しない本作では、その属性は不要だったのでは?むしろ『 ジオラマボーイ・パノラマガール 』の神奈川ケンイチのように、学校に行かず日夜街を徘徊して、人間の悪意をばらまいている、あるいは吸収している存在に描いた方が面白かったのではないか。

 

その人間の悪意が“言葉”だという点にも正直なところ拍子抜けさせられた。それも『 白ゆき姫殺人事件 』の二番煎じにもなれていないように見えた。言葉が悪意で、それが呪いとして成就しないのは、それを巧みに利用する者が存在するからだという背景はもっと丁寧に、なおかつ説得力のある方法で描けたはずなのだ。

 

クライマックスの“貯金箱”の描写もチープの一語に尽きる。これ以外にも、バラバラ殺人の被害者のパーツを集めて一つの人体に再構成するというサブプロットで、つなぎ合わされた死体が腐敗していない謎が最後まで説明されないなど、色々な要素を置いてきぼりにしたまま物語が進んでいく。続編制作に色気を持たせる終わり方だが、これだけとっちらかった序章では『 ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 』の二の舞を演じることになるだろう。

 

総評

出演者の演技は総じて悪くない。だが、脚本と演出が破綻してしまっている。コロナ禍という現実を下敷きに本作を観るという醍醐味もあるにはあるが、ストーリーを純粋に楽しむ、キャラクターの背景や経験を追体験するという映画的な楽しみ方は難しい。岡田や志尊のファンにならば勧められるか。Jovianは滝藤賢一目当てだったので、彼のパートだけはまあまあ楽しめた。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

cast a curse on ~

~に呪いをかける、の意。普通に考えれば日常生活で使うことはない表現だが。ファンタジーやホラーではたまに聞こえてくる表現。単に“I’ll curse you”または“Curse you”=呪ってやる、とも言うが、日本語でも「呪いをかける」の方が「呪ってやる」よりも本格的に聞こえるように、英語でもcast a curse on ~の方がシリアスに聞こえる。

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, ホラー, 岡田将生, 平手友梨奈, 志尊淳, 日本, 滝藤賢一, 監督:森ガキ侑大, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 さんかく窓の外側は夜 』 -ホラーならホラー路線に振り切れ-

『 走れ!T校バスケット部 』 -スポーツものとしても青春ものとしても中途半端-

Posted on 2018年11月6日2020年1月15日 by cool-jupiter

走れ!T校バスケット部 40点
2018年11月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:志尊淳 椎名桔平 佐野勇斗 早見あかり
監督:古澤健

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監督が古澤健ということで不安はあった。この人はスリラーは作れても、漫画を映画化するとイマイチになってしまうからだ。では、実話ベースの映画作りはどうか。随所に光るものは見えたが、色々なものを追求しようとしたせいで、どれもこれも中途半端になってしまったような印象を強く持った。

 

あらすじ

子どもの頃からバスケが大好きだった田所陽一(志尊淳)は、母親を早くに亡くしたために父親(椎名桔平)と二人暮らし。特待生としてバスケ強豪校に入学したものの、ふとしたきっかけから陰湿ないじめの標的に。バスケを辞め、ただの高校・・・ではなく、多田野高校、通称T高に転校してきた。バスケはもうしないと誓っていた陽一だったが、自分に真摯に向き合ってくれる大人や級友たちのおかげでバスケを再開。しかし、そのことを父親にはなかなか打ち明けられず・・・

 

ポジティブ・サイド

もしもこれが少年漫画あるいは少女漫画なら、母親不在という設定は編集者によって強硬に反対されていただろう。息子という存在を際立たせる親は、何よりも母親だからだ。ごくごく最近の映画に限ってみても、『 ハナレイ・ベイ 』、『 エンジェル、見えない恋人 』、『 パーフェクトワールド 君といる奇跡 』など、息子に寄り添うのはたいてい母親だ。それは『 ビブリア古書堂の事件手帖 』にも共通していた。父親が息子に真剣に向き合う物語は、これまではありそうでなかなか作られてこなかったのではないか。本作の事情とは異なるが、日本の離婚率もまあまあの水準まで高まってきている。性差によって役割を固定せず、家庭内の仕事をするべき人間が行うということを明示してくれているのは非常に貴重なことであると思う。椎名桔平の演技および演出も良かった。佐々木蔵之介のテレビ映画『 その日のまえに 』で、酒の力を借りて子に語り掛けようとして、逆に一喝されてしまうというシーンがあった。父は息子相手に高圧的になっても、へりくだっても、ましてや真正面からではなく搦め手で攻めようなどとはかんがえてはならないのだ。そうした父と息子の厳しくも理想的な関係を本作は描き出す。この部分がしかし、本作のハイライトになってしまった。

 

ネガティブ・サイド

本作をどのジャンルに分類すべきかと尋ねられて、悩む人は多いだろう。ヒューマンドラマであり、スポ根物語であり、ビルドゥングスロマンであり、社会派でもあるからだ。しかし、タイトルにバスケット部とあるからにはスポーツものの要素が最も強いはずだし、実際にはバスケットボールをプレーしているシーンは、いくつか合成やCGがあったように見えたが、役者たちがかなり練習してきたことが見て取れた。それでも、いくつかのシーンには???となったことを覚えている。NBAは確かフリースローは10秒以内に放らないとバイオレーションとなるが、日本の高校の試合では何秒だ?また、フリースローはジャンプしながら放ってはならないはず・・・

 

終盤前にサプライズキャラが登場し、バスケに関するアドバイスをくれるシーンがあるが、これが全くもってちぐはぐだった。それは助言の内容ではなく、その助言が物語の展開や進行にまったく影響を及ぼさないことだ。陽一と他のチームメイトの間に実力的なギャップがある。それは分かっている。だからこそ、試合では仲間を活かそうとするよりも自分の力だけで決めに行くような決断も必要になる。一瞬の迷いが命取りになる。というアドバイスは、全く生かされなかった!白瑞高校を倒すために、非情とも言える個人技連発を予感させるような前振りをしながら、見事に伏線を回収せず。これはスポーツものでは決してない。そうそう、シュートの角度とスウィッシュの方向が一致しない描写もあった。左45度からシュートしたのに、ボールは右45度からスウィッシュしてくるとか、編集はいったい何をやっているのだ?

 

いまさら言っても詮無いことだが、T高の田所陽一にフォーカスするのではなく、日川高校の田中正幸にフォーカスするべきだった。もちろん、日大アメフト部の超悪質タックル問題を思わせるような描写もあり、時代の要請に上手く答えられている面もあったが、肝心の物語があまりにもテーマを拡散させすぎて、一貫性を欠いてしまっているという印象はどうしても否めない。実話ベースではなく、バスケ漫画を原作に映画を作るべきだったのではないか。まあ、この分野には『フライング☆ラビッツ』という珍作があるので、一定以上の水準ならどれでも良作に見えてしまうものだが。

 

最後に、志尊淳に英語くらいは喋らせよう。吉田羊に英語指導した先生を連れてきて猛特訓すれば、モーガンさんともっとスムーズにコミュニケーションが取れたはずだ。バスケの練習で忙しかったなどというのは言い訳だ。これからの世代の役者も、英語くらいある程度使えて当然にならなくてはならない。福士蒼汰が英検2級合格をネタに使うようでは、日本のエンターテイメント業界の先細りは見えている。

 

総評 

悪質ないじめ描写から、予定調和的なエンディングまで、最後まで観る者を引っ張る力はある。しかし、楽しませる力はない。特に細部のリアリティと全体像との整合性、一貫性にこだわるようなうるさい映画ファンには非常に物足りなく映ることであろう。椎名桔平ファンなら要チェックと言えるかもしれない。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, D Rank, 佐野勇斗, 志尊淳, 日本, 早見あかり, 椎名桔平, 監督:古澤健, 配給会社:東映Leave a Comment on 『 走れ!T校バスケット部 』 -スポーツものとしても青春ものとしても中途半端-

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