ガール・イン・ザ・ミラー 50点
2020年2月19日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:インディア・アイズリー ミラ・ソルビノ ジェイソン・アイザックス
監督:アサフ・バーンスタイン
ジャケットとタイトル響きだけでTSUTAYAから借りてきた。どう考えても『 ガール・オン・ザ・トレイン 』を模している。パッと見でクソホラーだなと分かるが、Sometimes, I’m in the mood for garbage.
あらすじ
マリア(インディア・アイズリー)はカナダの内向的な高校生。友人はいるが、ベストフレンドというわけではない。プロムに行くような相手もいない。ある時、偶然にも自分には死別した双子の片割れがいると知った時から、マリアは鏡の中にアイラムという自分と同じ姿かたちをした少女を見るようになり・・・
ポジティブ・サイド
インディア・アイズリーの、この不思議な美貌よ。母オリビア・ハッセーと同じく期間限定の美なのだと思われるが、いわゆる薄幸の美少女から魔性の女までを見事に演じ分けていた。日本だと小松菜奈の雰囲気が少し近いだろうか。マリアとアイラムの関係は、おそらく日本でJovianだけが名作だ傑作だと騒いでいる月森聖巳の小説『 願い事 』の美音子とエレーヌのようである。ヘレン・マクロイの小説『 暗い鏡の中に 』や高野和明の小説『 K・Nの悲劇 』並みの面白さなので、古本屋などで見つけたら是非購入されたし。
Back on track. 双子、特に一卵性のそれは常にアイデアの源泉になるようである。本作ではマリアとアイラムの関係が、実のところ何であるのかは明示されない。それが心地よいのである。アイラムを超自然的な存在と見なすか、それともマリアが自己暗示で作り上げた人格と見るのか。その解釈は受け手に委ねられている。冒頭のエコーのシーン直後のマリアの登校シーンをよくよく観察してみよう。非常に細かい伏線が張られていたことに、後から気づくことだろう。
古いスケート場のシーンは良かった。カメラアングルも低く、まさに疾走している感覚を味わうことができ、ホラーの原点である追う者と追われる者の間の緊張感と恐怖が盛り上がった。また、裸体を惜し気もなく晒してくれたインディア・アイズリーに拍手。蒼井優や夏帆も、どうせならこれぐらいやってほしい。クソホラーではなく、ちょっとした変化球スリラーである。雨の日の暇つぶしに最適だろう。
ネガティブ・サイド
一部のシーンが不自然につながっている。あるいは、セリフに妙なところがある。だいたい、寝起きにいきなりマリアが完全メイクアップしているというのはどうなのか。父親もその顔を見て「ぐっすり眠れたようだな」はないだろう。せっかくオリビア・ハッセーの娘をキャスティングしながら、これはもったいない。素材の味をもっと素直に引き出してやれば良いのにと思う。
スケート練習を父親のクリニックに行くからと断り、「明日ね」とリリーらに約束しながら、次の日の放課後もまた父親のクリニックに行くというのはおかしくないか。Jovianの見間違いだったのだろうか・・・
一番の不満は、自分をイジメてくる同級生へのリベンジ方法があまりにも直接的だったことである。途中、誰もいない更衣室におびき寄せるまでは良かった。ああいう男にリベンジするなら、リベンジポルノではないが、脱がせたところに最大の屈辱と苦痛を味わわせてやればよいのだ。せっかく蟹をバリバリとかみ砕くシーンを入れているのだから、いじめっ子の男性自身も噛み切ってやればよかったのだ。それでこそ本物の魔性の女だろうに。
総評
タイトルはミステリ映画『 ガール・オン・ザ・トレイン 』をパロって(原題はLook Awayだが)いるものの、中身のテイストはホラー映画『 キャリー 』に近いものがある。ただ、色々な要素がどれもこれも中途半端なのである。逆に言えば、どういったジャンルの作品としても無難にまとまっているとも言える。COVID-19で外出する気にならないという向きは、自宅で鑑賞してはいかがだろうか。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
a good night’s sleep
劇中では A good night’s sleep is essential. という風に使われていたが、実際には get a good night’s sleep という形で使うことも多い。同僚や部下が目の下にクマを作っていて、夜はぐっすり眠れたか?と言いたくなったら“Did you get a good night’s sleep?”と言おう。