Skip to content

英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

  • Contact
  • Privacy Policy
  • 自己紹介 / About me

タグ: 配給会社:スタジオジブリ

『 海がきこえる 』 -転校生と青春の日々-

Posted on 2022年8月11日 by cool-jupiter

海がきこえる 70点
2022年8月10日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:飛田展男 坂本洋子 関俊彦
監督:望月智充

近所のTSUTAYAのアニメコーナーで『 マインド・ゲーム 』を探していたら、本作が目についた。転校生だった自分を思い出して、懐かしさもありレンタルしてきた。

 

あらすじ

東京で大学生をしている杜崎拓(飛田展男)は、吉祥寺駅の向かい側ホームに、高校の同級生・武藤里伽子(坂本洋子)の姿を見かける。親友の松野の片思いの相手だった里伽子の姿に、拓は高校時代の青春の日々を回想し・・・

 

ポジティブ・サイド

Jovian自身も兵庫県尼崎市から岡山県備前市へ転校した経験がある。都市部から田舎へ引っ越したという点では、東京から高知への引っ越しと大差ない。なので里伽子の感じる疎外感に大いに共感できた。別に土佐弁がどうのこうのではなく、方言というのは、それを解さない人間にとっては gibberish なのだ。しかしコミュニケーションのためには意味を取らねばならない。だから聞き返すわけだが、それが相手の気分を害する。良いとか悪いとかではなく、そういうものなのだ。

 

岡山人「やっちねもねえなあ」

Jovian「やっちねもねえって何?」

岡山人「何をやっちもねえこと言いよんなら?」

 

転校当初はこんなやりとりばかりで、ほとほと滅入った。里伽子に共感する気持ちが伝わっただろうか。

 

少々込み入った恋愛・青春ものであるが、この年頃の男子の性的な思考・志向をはずさず、正面から捉えていることに好感が持てる。ハワイで杜崎が金を無心されるところで、里伽子の私服から見える胸の谷間に目が行ってしまうシーンはその好例だろう。幼女・少女趣味あるいは戦闘美少女とは異なるテイストにもジブリが果敢に挑戦していた頃か。

 

この里伽子というキャラが引き起こす人間関係の不協和音を心地よいと感じる人はいないだろう。しかし、里伽子が引き起こす不協和音が青春の一つの在りようであるということに同意しない人もいないだろう。青春は甘酸っぱさよりもほろ苦さの方が遥かに強いはず。そうした苦みがあるからこそ、劇中で語られるように、高知城をひとり見上げるのではなく、誰かとともに見ることに大きな意味が生まれてくる。

 

Jovianは国際基督教大学に通っていたので、吉祥寺は庭同然だった。新しくなる前の総武線や中央線の電車、吉祥寺駅ホームから見えるTakaQやらLONLON直結出口やらには、とても懐かしい思いを抱いた。

 

金星堂が言及されてニヤリ。Jovianは職務上、多くの大学英語教科書を選定するが、金星堂や成美堂、Cengage Learning にはいくら儲けさせているか分からない。

 

ネガティブ・サイド

土佐弁が変。『 県庁おもてなし課 』でもそうだったが、日本の映画はアニメも実写も、もっと方言を忠実に再現することに力を入れるべきである。『 ハルカの陶 』の岡山弁の再現度がひとつの水準になる。

 

杜崎の心情をそのまま言葉にしてしまうのは野暮だろう。小説ならばそうせざるを得ないかもしれないが、これは映画。特に、東京のホテルで里伽子に呼び出された後、気分を害した杜崎が部屋で不貞寝するシーンでの心の中のセリフをそのまま再現してしまうのは親切なようでいて不親切。ここは怒りと落胆で千々に乱れる心情を表情や仕草で表すべきだった。

 

総評

保護者会が父兄会だったり、職員室で教師がタバコを吸っていたり、心療内科が精神科だったりと時代を感じさせる作品。けれど描かれている青春模様や人間関係は極めて普遍的である。10代で鑑賞して、30代以降に再鑑賞する。あるいは、盆や正月に帰省してきた大学生の子どもと一緒に鑑賞してみるのもありだろう。やや毛色は異なるが、これも一つのジブリ作品である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

slap

引っぱたくの意。give someone a slap in the face = 平手打ちをお見舞いする、という形でもよく使われる。Jovianが大学生当時、アメリカ人に聞いたジョークでは、

A: What do you do if the dishwasher stops?

B: Slap her. 

というものがあった。ダブルミーニングだが、そこまで難しくはないだろう。決してJovianが sexist だとは受け取らないでほしい。1990年代にはそういうジョークがあった、というのを本作の描写から思い出しただけである。

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村  

Posted in 国内, 映画Tagged 1990年代, B Rank, 坂本洋子, 日本, 監督:望月智充, 配給会社:スタジオジブリ, 関俊彦, 青春, 飛田展男Leave a Comment on 『 海がきこえる 』 -転校生と青春の日々-

最近の投稿

  • 『 28日後… 』 -復習再鑑賞-
  • 『 異端者の家 』 -異色の宗教問答スリラー-
  • 『 うぉっしゅ 』 -認知症との向き合い方-
  • 『 RRR 』 -劇場再鑑賞-
  • 『 RRR:ビハインド&ビヨンド 』 -すべてはビジョンを持てるかどうか-

最近のコメント

  • 『 i 』 -この世界にアイは存在するのか- に 岡潔数学体験館見守りタイ(ヒフミヨ巡礼道) より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に cool-jupiter より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に 匿名 より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に cool-jupiter より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に イワイリツコ より

アーカイブ

  • 2025年5月
  • 2025年4月
  • 2025年3月
  • 2025年2月
  • 2025年1月
  • 2024年12月
  • 2024年11月
  • 2024年10月
  • 2024年9月
  • 2024年8月
  • 2024年7月
  • 2024年6月
  • 2024年5月
  • 2024年4月
  • 2024年3月
  • 2024年2月
  • 2024年1月
  • 2023年12月
  • 2023年11月
  • 2023年10月
  • 2023年9月
  • 2023年8月
  • 2023年7月
  • 2023年6月
  • 2023年5月
  • 2023年4月
  • 2023年3月
  • 2023年2月
  • 2023年1月
  • 2022年12月
  • 2022年11月
  • 2022年10月
  • 2022年9月
  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月

カテゴリー

  • テレビ
  • 国内
  • 国内
  • 映画
  • 書籍
  • 未分類
  • 海外
  • 英語

メタ情報

  • ログイン
  • 投稿フィード
  • コメントフィード
  • WordPress.org
Powered by Headline WordPress Theme