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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 監督:リュ・スンワン

『 ベテラン 凶悪犯罪捜査班 』 -続編にも期待大-

Posted on 2025年4月13日 by cool-jupiter

ベテラン 凶悪犯罪捜査班 75点
2024年4月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ファン・ジョンミン チョン・ヘイン
監督:リュ・スンワン

 

『 ベテラン 』の続編。前作のキャラや要素を引き継ぎつつ、ドチョルの「私」の部分が掘り下げられた秀作だった。

あらすじ

罪を犯しながら法で裁かれない悪人たちが次々に殺害された。ヘチと呼ばれる実行者に世論は沸騰。そんな中、かつてドチョル(ファン・ジョンミン)らが逮捕したチョン・ソグが殺人の刑期を終えて出所。世論はヘチによるチョン・ソグへの私刑を支持。ドチョルたちは新人警官パク・ソヌ(チョン・ヘイン)を交えてチョン・ソグの警護に当たるが・・・

ポジティブ・サイド

コメディ全開のオープニングのアクションから一転、韓国社会の世論を大いに喚起させる凶悪連続殺人犯の出現で、そうしたムードは一変。そしてまさかのチョン・ソグの再登場に観ている側の怒りのボルテージも上がっていく。そしてヘチの標的であるチョン・ソグの警護にあたるドチョルの怒りのボルテージも当然ながら上がっていく。キャラと観客の感情をシンクロさせる手法はシンプルだが効果は抜群。

 

ヘチの正体は一番最初の目のシーンだけでほとんど明示されているわけで、ある意味、それに気付かないドチョルたちチームのメンバーに「おい、早く気付け」と観ているこちらがやきもきしてしまう。これもサスペンスを盛り上げる手法としてシンプルながら効果は抜群だ。

 

YouTuberが派手に騒いで収益を狙うというのは日本も韓国も同じ。迷惑系配信者のジョニー・ソマリへの攻撃などを見ると、韓国のYouTuberは日本のYouTuberよりも狂暴で、民度としてはいかがなものか。まあ、日本の方はそういう輩が選挙に出てきたりするので迷惑度としては五分五分か。ただ、YouTubeやソーシャルメディアのおかげで、偏った形とはいえ世論がある程度見える化されたことをそのまま映画に持ち込んだのは非常に現代的。日本も『 白ゆき姫殺人事件 』をバージョンアップさせたような作品作りが求められる。

 

韓国では当たり前のように軍隊上がりがいるので、『 殺人鬼から逃げる夜 』のように一般人が腕っぷしの強さを見せることに違和感がない。本作はそれに加えて前作通りの「痛みが見る側にダイレクトに伝わる」アクションを徹底。事件を解決して「よっしゃー!」ではなく、「疲れた」となるところが面白く、かつリアルだった。

ネガティブ・サイド

ヴィランの魅力というか、悪が悪として躍動する様は前作の方が上だった。日本でもねずみ小僧のような義賊がもてはやされた時代があったが、今作のヘチは民衆に還元するのではなく、単なる自己満足に見えなかった。

 

チョン・ソグはどうやって誘い出された?仮にクローン携帯だとして、たとえばソグの母親の携帯はどうやってクローンしたというのだろうか。

 

総評

チームとしての活躍や一体感もさらにアップ。加えて、こちらの見たかったドチョルの「私」の部分、すなわち夫および父親としての部分が、物語に大きく関わっている。事件を解決した時にドチョルがチームに対して見せる顔、そして家族に対して見せる顔が、非常に対照的で印象的だった。続編は「ドチョル、最後の事件」的に5~6年後かと思ったが、割と早くに実現しそう。こちらも制作と公開が待ちきれない。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

パリパリ

早く早く、の意。日本語と同じで二回繰り返すことが多い。韓国の映画やドラマを観ていると、かなりの頻度で使われていることが分かる。大阪と同じで、いらち(せっかち)が多いのだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 悪い夏 』
『 アマチュア 』
『 片思い世界 』

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, チョン・ヘイン, ファン・ジョンミン, 監督:リュ・スンワン, 配給会社:KADOKAWA, 配給会社:KADOKAWA Kプラス, 韓国Leave a Comment on 『 ベテラン 凶悪犯罪捜査班 』 -続編にも期待大-

『 ベテラン 』 -再上映に感謝-

Posted on 2025年4月8日2025年4月8日 by cool-jupiter

ベテラン 75点
2025年4月5日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ファン・ジョンミン ユ・アイン
監督:リュ・スンワン

 

『 ベテラン 凶悪犯罪捜査班 』上映前に前作を劇場で再公開。ありがたい。こういうリバイバル上映はもっと行われてほしい。

あらすじ

広域捜査隊員のドチョル(ファン・ジョンミン)は、とあるパーティーで大企業幹部のテオ(ユ・アイン)と出会い、犯罪の臭いを嗅ぎつける。そのテオの関連会社勤務で、ドチョルとも旧知のトラック運転手が自殺した。事件の背後にテオの存在を確信するドチョルは捜査を始めるが・・・

ポジティブ・サイド

冒頭の警察らしからぬドチョルのおとり捜査に、直後のキレッキレのアクション、そして締めのユーモアと、冒頭から楽しませてくれる。

 

そんなドチョルが今作のヴィランのテオとパーティーで顔を合わせるシーンは、コメディ要素の強かった本作を一気にサスペンス風味に塗り替えた。骨の髄まで甘やかされた、腐った小悪党に見えたが、演じたユ・アイン自身が麻薬私用で起訴されているではないか。まあ、悪人が悪を演じるのもエンタメの一つの形かもしれない。

 

それにしても、あの手この手で捜査する警察側を、シンジン物産は先回りして潰してくる。メディアや警察の上層部まで押さえているから始末に負えない。財閥が圧倒的な強さを誇示する韓国らしい。労働者を労働者ではなく人権のない奴隷であるかのように扱う姿勢に、観る側は怒りを燃やし、被害者に共感し、主人公を応援したくなる。

 

本作ではドチョルの妻と、被害者の妻、二人の妻の見せ場が見どころになっている。これによってさらに主人公と被害者への共感が深まっていく。一歩で悪役のテオは、その悪魔的な所業をさらに加速させていく。しかし、チーム長や庁長は頼りにならない・・・と見せかけて、クライマックス前にお互いの絆と信頼の強さをコメディ全開で披露しあう展開には笑った。

 

最後は力で強行突破。逃げるテオと追うドチョル。拳と拳の勝負・・・に、ちょっとした変化球あり。それにしても、派手に殴り合うだけではなく、観る側に「痛い!」と思わせる絵作りの上手さよ。リーアム・ニーソンやジェイソン・ステイサムの映画のアクションとは質が全く異なっている。邦画もこうした格闘アクションは上手く咀嚼して取り入れてほしい。

 

出演陣もかなり豪華。この人が出ていればだいたい面白いこと確定のユ・ヘジンに、勝手に韓国の北村有起哉認定しているオ・ダルス、悪人から善人まで何でもござれのチョン・マンシク、その他、映画やドラマで見かける面々。それらをすべて包み込む、大らかで優しく、しかし悪は決して許さない一本気の刑事を演じたファン・ジョンミンはやっぱりかっこよかった。

 

ネガティブ・サイド

直接的に見せているわけではないが、動物虐待のシーンがあるのがしんどい。

 

『 犯罪都市 』より本作の方が先とはいえ、取り調べ中の暴力というのはいかがなものか。

 

最終盤にびっくりする人物が登場するが、「あっさり引き下がるんかーい」とズッコケてしまった。ファンサービスとしては嬉しいが、このシーンはカットで良かったのでは?

 

総評

いかにも韓国らしい、金持ち=悪をぶっとばすという勧善懲悪劇。ファン・ジョンミン演じるドチョルの刑事としての腕っぷし、義侠心、仲間意識、さらに夫として、父親としての心構えまで堪能できる。ベテランが何を指すのかはよくわからないが、『 終末の探偵 』的な面白さ、つまり主人公に魅力があり、シリーズ化してほしいと感じた。今週末の続編公開が待ち遠しい。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ヒョン

兄の意。血のつながりがなくても使える表現。男→男で使われる。劇中ではドチョルがチーム長をヒョンニムと敬称付きで呼んでいたが、字幕は「先輩」となっていた。日本語で「兄貴」と呼んでしまうとヤクザっぽいからか。ちなみに女→男では「オッパ」となる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ケナは韓国が嫌いで 』
『 悪い夏 』
『 ベテラン 凶悪犯罪捜査班 』

 

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『 密輸 1970 』 -虚々実々の密輸ドラマ-

Posted on 2024年7月15日 by cool-jupiter

密輸 1970 70点
2024年7月13日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ヨム・ジョンア キム・ヘス
監督:リュ・スンワン

 

『 モガディシュ 脱出までの14日間 』のリュ・スンワン監督作品ということでチケット購入。

 

あらすじ

港町クンチョンは工場排水により漁が成り立たなくなりつつあった。そんな中、海女のリーダーのジンスク(ヨム・ジョンア)は生活のために密輸に協力することを決断する。ある時、税関によってジンスクは現行犯逮捕され、親友チュンジャ(キム・ヘス)だけがその場から逃亡するが・・・

ポジティブ・サイド

1970年代の韓国と言えば民主化前=軍事政権下ということぐらいしか知らないが、工業化による公害が問題になるところは日本と同じか。海女たちが自発的にではなく、生活の糧を売るためにやむなく密輸に協力するというプロットには説得力があった。

 

その海女たちが一度は摘発され、刑務所で過ごし、娑婆に戻ってからも汚れた海で生きるしかないという描き方が痛切。腐った海藻でスープを作って幼い子どもに与えざるを得ないシーンには胸が痛んだ。こうした背景があるため、密輸という犯罪に従事する海女たちを一方的に断罪することができない。

 

その海女の中心人物ジンスクを演じたヨム・ジョンアと、裏切り疑惑のチュンジャの再会。そこから動き出すヒューマンドラマとクライムドラマの両方が、非常にテンポよく展開される。随所で挿入される韓国版懐メロも映像とストーリーにマッチしていて、それもストーリーテリングに一役買っている。

 

ソウルの密輸王、クォン軍曹と彼の片腕がアメリカのグリーンベレーかと思うほど強すぎるが、ベトナム戦争帰りだという設定によって、荒唐無稽なアクションシーンにもリアリティが感じられた。終盤の水中での大立ち回りは非常に新鮮に映った。水連達者の海女が男たちを一人また一人と始末していくのは痛快だった。

 

最後はすべての悪を華麗に打ち倒して、ハツラツとしている海女たち。密輸や殺人に関わっておきながらそれはないだろうとも思うが、「まあ、そんなことはええか」と思わせるだけのデタラメなパワーを持った作品でもある。韓国映画は邦画が絶対に作れない作品を時々軽々と作ってくれるが、本作は間違いなくそうした一品である。

 

ネガティブ・サイド

海女たちの集合写真がまんま『 セックス・アンド・ザ・シティ 』なのは時代が合わないし、オリジナリティにも欠けると感じた。

 

チュンジャがクォン軍曹の信用を得る過程の描き方が弱かった。軍人上がりでソウルの地下社会・密輸業の実力者たるクォン軍曹の片腕的なポジションに成り上がるまでに、クンチョン以外の舞台でのチュンジャの活躍を2~3分挿入しても良かったのではないかと思う。

 

韓国(映画)では警察=無能、役人=悪人という等式が成立するが、本作でもそれは例外ではない。そういう意味では本作の真相にはあまりサプライズを感じられなかった。

 

総評

50年前の韓国でこんなに生き生きと女性が活躍していたとは思えないが、それでも「ひょっとしたらこんな人たちがいたのかも・・・」と思わせるだけの妙なパワーが本作にはある。実話ベースということだが、おそらく海女さんが密輸に協力していたことがあっただけで、ヤクザや税関相手に大立ち回りをしていたはずはない。ただ、そうした荒唐無稽な想像を実際に映画に仕立て上げてしまうリュ・スンワン監督の手腕は見事。子供向けとは言えないが、40代以上なら男女を問わずに楽しめるはずの作品だ。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

セグァン

税関の意。言わずと知れた輸出入に関わるレギュレーションを担当するお役所。本作で最も多く聞こえてくる語彙の一つ。今学期、Jovianは薬学部で英語を教えていたが、受講者の中には「将来は麻薬取締官になりたい」という者も毎年ちらほらいる。彼ら彼女らは将来、税関と連携して、水際で禁輸や密輸を食い止めてくれることだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 朽ちないサクラ 』
『 キングダム 大将軍の帰還 』
『 YOLO 百元の恋 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, キム・ヘス, ヨム・ジョンア, 歴史, 監督:リュ・スンワン, 配給会社:KADOKAWA, 配給会社:KADOKAWA Kプラス, 韓国Leave a Comment on 『 密輸 1970 』 -虚々実々の密輸ドラマ-

『 モガディシュ 脱出までの14日間 』 -極限状況から脱出せよ-

Posted on 2022年7月4日 by cool-jupiter

モガディシュ 脱出までの14日間 75点
2022年7月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:キム・ユンソク チョ・インソン チョン・マンシク
監督:リュ・スンワン

名優キム・ユンソク主演作。韓国が国際社会での存在感を増そうともがいていた時代を映したという意味で『 国家が破産する日 』とよく似ている。あちらも焼けつくようなサスペンスがあったが、こちらも言葉そのままの意味で手に汗握り、固唾をのんでしまう作品であった。

 

あらすじ

1990年、国連加盟を目指す韓国はアフリカ諸国の支援を取り付けようと躍起になっていた。ソマリア駐在大使ハン(キム・ユンソク)も、ソマリア大統領やその側近に接近していた。しかし、同じく国連加盟を目論む北朝鮮の妨害にあっていた。そんな中、内戦が勃発。北朝鮮のリム大使(ホ・ジュノ)は、韓国大使館へ助けを求めようとするが・・・

ポジティブ・サイド

太陽政策以来、南北は、少なくとも韓国側は融和への路線を歩んでいる。だが、本作は1990年、つまり南北がバチバチに対立していた頃の話。その争いも、北がソマリアのチンピラを雇って、韓国大使の自動車を銃撃し、大統領との面会に遅刻させるという、ユーモラスなのか深刻なのか分からないもの。だが、いったん内戦が勃発するや、わずかに残っていたユーモアは消し飛び、物語は戦場さながらの、いや戦場そのままの修羅場からの脱出劇へと変貌する。

 

まずソマリア人たちの trigger happy ぶりに怖気を奮うしかない。銃社会と言えば『 女神の見えざる手 』のアメリカが思い浮かぶが、銃を誰がどう手に入れるかではなく、誰もが銃を持ち、政権側は反乱軍に発砲するし、反乱軍も政権側に発砲する。同国人に対してそうなのだから、外国人に対して容赦などするはずもない。相手が外交官であっても反乱軍は気にしない。いや、反乱軍だからこそ気にしない。そんな恐怖感が、逆に南北朝鮮人の心を近づける。

 

命からがら韓国大使館へと逃げ込む北朝鮮外交官たちとその家族たちが、晩餐を振る舞われるが、誰もそれに手を付けない。元々一つの国家だった朝鮮半島であるが、彼らはその文壇の始まりをモガディシュに見出していたのだろう。キム・ユンソクがホ・ジュノと自分の器を無言で入れ替え、むしゃむしゃと食べ始めたところで、北朝鮮側も三々五々食べ始める。ここで、南北の女性が同時に荏胡麻の葉に同時に橋を伸ばすシーンは、人間が本来持っている思いやりというものを淡々と描く名場面だった。

 

本作は南側の視点に立っているが、北を問答無用の悪に描くことはせず、また南を無条件に善に描くことをしない。北の人間が自分たちの子どもたちに南の文化を見させまいとして、我が子の目を覆うシーンもある一方で、南の人間は北の人間すべてが暗殺者として育てられていると陰口をたたく。どっちもどっちである。この相容れない同民族が、極限状況で互いを認め合っていくのが本作の一つの見どころである。分断されるソマリアと、分断される中で統一・・・とは言わないが、一つにまとまっていく南北朝鮮の人々のコントラストが映える。非常に逆説的であるが、民族や部族がまとまるために極限状況は不要であるというメッセージが強く伝わってくる。

 

クライマックスのイタリア大使館に向けての逃走劇はカーアクションの白眉である。カーアクションだけ見れば『 新 感染半島 ファイナル・ステージ 』や『 ただ悪より救いたまえ 』よりも上である。4台のクルマが連なって銃撃の雨あられをかいくぐる一連のシークエンスは、カメラワークの巧みさもあり、非常にスリリングな出来に仕上がっている。脱出した先に見る光景、それはもう一つの分断だった。このやるせなさよ。清々しい余韻を残して終わることを良しとしない韓国映画の面目躍如である。

 

1990年と言えば湾岸戦争勃発のイメージが強く、ソマリアで内戦が起きていたことなど当時はリアルタイムで知りようがなかったし、そんな情報も自分には入ってこなかった。小学生だったから当たり前だが、当時の大人も海外の一大事といえば湾岸戦争だったはずだ。だが、そんな戦争の裏でこれほど濃密なドラマが繰り広げられていたとは知らなかった。韓国映画の勢いは、コロナ禍でも衰えを知らないようだ。

ネガティブ・サイド

南北の参事官同士が肉弾戦を繰り広げるシーンがあるが、あまりにも南が北を圧倒しすぎではないか。もっと互角の殴り合い(というか蹴り合い)をしてくれれば、終盤のカーアクション後の展開をもっとドラマチックに演出できたことだろう。

 

各国大使たちの丁々発止のやりとりや、時に支え合い、時に出し抜こうとする外交官の駆け引きが描かれていれば、終盤のイタリア大使館やエジプト大使館から協力を得られる展開がもっと感動的になったと思われる。

 

総評

韓国映画はしばしばハリウッド映画の亜種とされるが、まさにハリウッド的なテイストに溢れた作品。序盤はユーモアを交え、60分で一つ目の山場、90~105分に対立と緊張の中で芽生える南北の人間の奇妙な友情や連帯感は、陳腐ではあるが、それゆえにいくらでもドラマを生み出すことができる。『 PMC ザ・バンカー 』はスーパー・エクストリームな展開だったが、こちらは歴史的な事実に基づいている。その意味ではリアリティが抜群である。韓国映画と邦画の差は開くばかりである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

15 minutes late

『 シャンチー テン・リングスの伝説 』で紹介した 90% confident の類似表現。劇中ではキム・ユンソクが We were only 15 minutes late. = たった15分遅刻しただけなのに、と正しい形で使っていた。前にも書いたが、Jovianの以前の職場の英検1級ホルダー3名はそろいもそろって 〇〇 san will be late for 15 minutes を「正しい英語である」と認識するトンデモ英語講師であった。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, キム・ユンソク, サスペンス, チョ・インソン, チョン・マンシク, 歴史, 監督:リュ・スンワン, 配給会社:ツイン, 韓国Leave a Comment on 『 モガディシュ 脱出までの14日間 』 -極限状況から脱出せよ-

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