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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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タグ: 監督:ライアン・フレック

『 キャプテン・マーベル 』 -モンタージュ的スーパーヒーロー映画-

Posted on 2019年3月21日2020年1月9日 by cool-jupiter

キャプテン・マーベル 50点
2019年3月16日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ブリー・ラーソン サミュエル・L・ジャクソン ベン・メンデルソーン
監督:アンナ・ボーデン ライアン・フレック

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Marvel Cinematic Universeを締めくくるべき作品たるエンドゲームの直前にリリースされることには大きな意味があるはずだ。実際にそのように予感していたし、開始直後にはおそらく映画ファン全員が最敬礼せざるを得ないような映像が展開されていく。しかし、映画そのものとしてはどこか物足りなさも残った。

あらすじ

過去の記憶を思い出せないヴァース(ブリー・ラーソン)は地球ではない惑星ハラで訓練に明け暮れていた。超人工知能サプリーム・インテリジェンスにより任務を与えられたヴァースは、変身能力を持つ敵スクラルを追ううちに、地球にやって来てしまう。そこで出会ったニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)やフィル・コールソンらと共に、ヴァースは自らの真の姿に目覚めていく・・・

ポジティブ・サイド

『 アベンジャーズ 』世界だけではなく、『 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 』の世界とも密接につながっている。Marvel Cinematic Universeのファンならば、映画のそこかしこに様々なガジェットが仕込まれていることに思わずニヤリとさせられること請け合いである。現実世界とのリンクで言えば、ヴァースが地球に落ちてくるのは、今は亡きvideo rental store界の覇者、Blockbusterなのである。Netflixの出現によって僅か一年ほどで潰されてしまった悲劇の巨大チェーンで、日本ではTSUTAYAが全く同じような苦境にあると言える。最も古いヒーローでありながら、最も新しいヒーローなのでもあるということを象徴するようなシークエンスである。

閑話休題。本作で最もMCUファンが喜ぶのは、若きニック・フューリーよりも、エージェント・コー○ソ○なのではあるまいか。Jovianは近年では、トレーラーやパンフ、公式サイトなどはほとんど見ずに映画館に乗り込むことにしているので、彼の登場を示唆する情報もあったのかもしれないが、これは嬉しい不意打ちであった。

また、本作においてもデジタル・ディエイジング技術のポテンシャルが大いに発揮された。サミュエル・L・ジャクソンが若返った。『 パルプ・フィクション 』の頃よりも若い。これは凄い。この技術が更なるブレイクスルーを経れば、『 ブレードランナー2049 』のレイチェルをもっとリアルに、さらにもっと低予算で生み出せるのだろうか。映画の新たな可能性の地平を切り拓くこの技術の更なる革新に期待をしたい。

ネガティブ・サイド

本作の戦闘シーンはド迫力である。しかし、残念なことに、そこに真新しさは無かった。これは痛い。本作を見れば、『 ターミネーター 』、『 スーパーマン 』、『 X-MEN 』、『 バットマン 』、『 インディペンデンス・デイ 』、『 マトリックス 』、『 スター・ウォーズ 』、『 プレデター 』、『 ブレードランナー 』、『 ステルス 』、『 トップガン 』、『 メン・イン・ブラック 』などの構図やシーンをどうしても思い浮かべずにはいられない。いや、それだけなら『 アクアマン 』におけるアクションシーンも似たようなものである。だが、本作には漫画的な面白さ、つまりはコミカルさが非常に乏しい。『 アクアマン 』では、これまで世界の誰もやらなかった(少なくともJovianの知る限りでは)ビームを発射するサメという糞アイデアが実現されたし、タコが八本脚でドラムを叩きまくるという漫画そのものでしかないシーンも盛り込まれた。こうしったシーンには我々は笑うしかない。苦笑ではない。爆笑するのである。

しこうして、本作が担うべきコミカルさはどこにあったのか。何故こんなところで『 寄生獣 』を見せられねばならんのか。ギャグが合う合わないは普遍性ではなく、個人の個別性に依るものだが、これは面白くない。GoGのロケットにインスパイアされたのかもしれないが、もっとリアリティを出してほしい。

記憶喪失ものというのも、そろそろジャンルとして限界に近付いているのではなかろうか。『 トータル・リコール 』以来、我々は失われた記憶が戻った時、世界の意味が反転するという経験を厭というほど映画世界で体験してきた。ここにも、もっと別のアイデアや味付けが必要だったはずだ。『 アクアマン 』が「あいの子」という現代的、グローバル的な意味でのメッセージを持っていたのに対し、本作は普通に陳腐で凡庸なアクションヒーロー映画という枠をブチ壊すことはできなかった。『 アベンジャーズ/エンドゲーム 』への導入以上の意味が薄かった。それが悔やまれるところである。


もう一つ、ニック・フューリーの眼帯の謎も解き明かされるが、これも拍子抜けするような事情である。漫画『 ろくでなしBLUES 』の武藤のそれとほとんど同じである。まさかそんなものをパクったりはしていないだろうが、このやっつけ仕事ぶりには落胆させられた。 

総評

弱点も多いが、単なるアクション映画として見ればエンターテインメント大作にして一大スペクタクルである。MCUファンなら間違いなく観ねばならない。ただし、MCU映画のつなぎ目的な意味以上が見出しにくい映画でもある。コアな映画ファンは劇場に行くに当たっては、「ドンパチ派手派手アクション映画でも観に行くか」という割り切りが必要であろう。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190321132506j:plain

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, D Rank, アクション, アメリカ, サミュエル・L・ジャクソン, ブリー・ラーソン, 監督:アンナ・ボーデン, 監督:ライアン・フレック, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 キャプテン・マーベル 』 -モンタージュ的スーパーヒーロー映画-

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