Skip to content

英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

  • Contact
  • Privacy Policy
  • 自己紹介 / About me

タグ: 監督:アンティーン・ファーロング

『 アクセル・フォール 』 -スリラーに徹すべし-

Posted on 2022年7月24日 by cool-jupiter

アクセル・フォール 30点
2022年7月20日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:シャーロット・ベスト
監督:アンティーン・ファーロング

夏と言えばホラーまたはスリラー。『 TUBE チューブ 死の脱出 』のようなシチュエーション・スリラーかなと思い、近所のTSUTAYAでレンタル。

 

あらすじ

アリア(シャーロット・ベスト)が目覚めると、そこは超高層ビルのエレベーター内だった。エレベーターの扉は開かず、急激な下降と上昇を繰り返してアリアを痛めつける。誰が?何のために?謎が謎のままに、エレベーターのモニターにはアリアの父が拷問を受ける映像が映り・・・

 

ポジティブ・サイド

エレベーターは密室でありながら、動くという特徴を持つ。地震の多い日本という国では、エレベーター内に閉じ込められるというのは現実的な恐怖として感じやすい。その意味で、アリアの置かれた状況を我が事のように感じられた。

 

アリアの父の拷問シーンも、観ていて結構痛い。やはり低予算映画が力を入れるべきは、高額な役者や美麗なCGではなく、苦痛の表現だ。アリア自身も結構痛めつけられるが、観ていて本当に自分でも脳震盪を起こしそうに感じた。

 

状況が全く不明なままアリアが痛めつけられ、スマホに残る謎のメッセージや、モニターに映る父の様子など、序盤のミステリ要素とサスペンスの風味はなかなかのもの。シチュエーション・スリラーというジャンルは、序盤だけは面白さは保証されている。

 

ネガティブ・サイド

原題は Rising Wolf = 立ち上がる狼ということで、このタイトルならそもそも借りなかった。やはりアリアに訳の分からない超能力があった、という設定が本作を一気に駄作に落としている。

 

エレベーターの急降下でアリアが気絶するたびに謎の回想シーンが入るが、これが物語のテンポを悪化させている。回想シーンそのものに面白さというか、様々な謎を解く鍵、あるいはさらに謎を膨らませる要素があればよかったが、それも無し。その代わりにアリアには双子の妹ザラがいて、二人そろって謎の超能力があり、父親はCIAのエージェントで・・・って、色々と詰め込みすぎ。

 

まず超能力の設定が不要。なおかつ、その超能力が本当に超がつくようなむちゃくちゃな能力。サスペンス要素を盛り上げたいなら、アリアの能力は通信あるいは何らかの感知・検知能力にすべきだろう。エレベーターという密室で最も必要になるのは、まずは情報。その情報を得るには、外部と通信するか、または自ら感じ取ることが必要。備え付けの電話やスマホが使えなくなった。そこで過去の回想で、ザラや、あるいは両親とテレパシーでコミュニケーションしていた。あるいは、壁の向こう側が見えたり、遠いところの音や声が聞こえたりといった経験が思い出されて・・・という展開なら、まだ分かる。超能力自体が的外れな上に、それがエレベーターという密室と上手にリンクしないのはマイナスである。

 

悪役がロシア人というのはある意味でタイムリーであるが、「エンジニア」なる謎の存在を探すというのがクリシェだし、エレベーター内のモニターが切れている時だけ、アリアが叔父のジャックと通話できるというのも都合が良すぎて、すぐにピンとくる。特にゲームの『 メタルギアソリッド2 』や『 エースコンバット3 エレクトロスフィア 』をプレーしたことがあれば「これはアレか」となるだろう(ジャックが実在するかどうかではなく、ジャックの正体は誰なのか、という点で)。

 

覚醒したアリアはまさに Rising Wolf のタイトルにふさわしいが、何だろうか、この「私の戦いはまだ始まったばかり」感満載の終わり方は・・・ 続編作る気満々に見えるが、今どきのジュブナイル小説でも、もっとちゃんとしたプロットを組み立てるだろう。サイキックパワーやらタイムトラベル、原子分解から原子再構成までやりたい放題やったのだから、いさぎよく一作で完結しておくべきだろう。まあ、これの続編にカネを出そうというスポンサーはいないだろうが。

 

総評

オーストラリア発の珍品である。クオリティとしては、毎年夏になると出てくる珍品ゾンビ映画、あるいは珍品サメ映画と変わらない。超能力ものは嫌いではないが、それは超能力が世界観とマッチするときだ。配信やレンタルショップで目にしても、視聴はお勧めしない。視聴するなら自己責任でどうぞ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Rising

いわゆる分詞の形容詞的用法というやつである。意味は「立ち上がる」、「上昇する」など。Rising Star = 人気や知名度が上昇中のスター、The Land of the Rising Sun = 日出ずる国など、多少英語を勉強した人なら馴染み深い分詞だろう。

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村   

Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, E Rank, オーストラリア, シチュエーション・スリラー, シャーロット・ベスト, ファンタジー, 監督:アンティーン・ファーロング, 配給会社:AMGエンタテインメントLeave a Comment on 『 アクセル・フォール 』 -スリラーに徹すべし-

最近の投稿

  • 『 28日後… 』 -復習再鑑賞-
  • 『 異端者の家 』 -異色の宗教問答スリラー-
  • 『 うぉっしゅ 』 -認知症との向き合い方-
  • 『 RRR 』 -劇場再鑑賞-
  • 『 RRR:ビハインド&ビヨンド 』 -すべてはビジョンを持てるかどうか-

最近のコメント

  • 『 i 』 -この世界にアイは存在するのか- に 岡潔数学体験館見守りタイ(ヒフミヨ巡礼道) より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に cool-jupiter より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に 匿名 より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に cool-jupiter より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に イワイリツコ より

アーカイブ

  • 2025年5月
  • 2025年4月
  • 2025年3月
  • 2025年2月
  • 2025年1月
  • 2024年12月
  • 2024年11月
  • 2024年10月
  • 2024年9月
  • 2024年8月
  • 2024年7月
  • 2024年6月
  • 2024年5月
  • 2024年4月
  • 2024年3月
  • 2024年2月
  • 2024年1月
  • 2023年12月
  • 2023年11月
  • 2023年10月
  • 2023年9月
  • 2023年8月
  • 2023年7月
  • 2023年6月
  • 2023年5月
  • 2023年4月
  • 2023年3月
  • 2023年2月
  • 2023年1月
  • 2022年12月
  • 2022年11月
  • 2022年10月
  • 2022年9月
  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月

カテゴリー

  • テレビ
  • 国内
  • 国内
  • 映画
  • 書籍
  • 未分類
  • 海外
  • 英語

メタ情報

  • ログイン
  • 投稿フィード
  • コメントフィード
  • WordPress.org
Powered by Headline WordPress Theme