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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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タグ: ラス・タンブリン

『 ウエスト・サイド物語 』 -ミュージカル映画の金字塔-

Posted on 2022年2月20日2022年2月20日 by cool-jupiter

ウエスト・サイド物語 80点
2022年2月17日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ナタリー・ウッド ジョージ・チャキリス リチャード・ベイマー ラス・タンブリン リタ・モレノ
監督:ロバート・ワイズ ジェローム・ロビンス

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S・スピルバーグが本作をリメイクしたというニュースは2年前からあったと記憶しているが、公開がここまで遅れるとは。本作も小学生の時にVHSで観て以来、多分10回ぐらいは観ている。久しぶりに再鑑賞して、やはり時を超える傑作だと感じた。

 

あらすじ

ニューヨークのマンハッタン。イタリア系のジェット団とプエルトリコ系のシャーク団は、ストリートで抗争を繰り広げていた。ダンス・パーティーの場で、ジェット団のボスであるリフ(ラス・タンブリン)のかつての兄貴分トニー(リチャード・ベイマー)は、シャーク団のボス、ベルナルド(ジョージ・チャキリス)の妹、マリア(ナタリー・ウッド)と皮肉にも運命的な出会いを果たす・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭の音楽だけで、ある意味で物語の全てが描かれている。この色とりどりに変わっていくロゴ画面とサントラのコンビネーションの素晴らしさは、『 2001年宇宙の旅 』の冒頭数分の真っ暗な画面と雑音、そこから太陽が輝き出す瞬間に大音量で流れる『 ツァラトゥストラはかく語りき 』に匹敵する。というか。『 2001年宇宙の旅 』よりも本作の方が古かった。ロバート・ワイズの先見性よ。

 

不遇への不満、怒りから、胸の高鳴りから愛まで、すべてが見事な歌と踊りで表現されている。冒頭のジェット団の指パッチンと口笛が印象的な『 Prologue 』、絢爛豪華な中に危うさも感じさせる『 Dance at the Gym 』、アメリカの正の面と負の面をユーモラスに歌い踊り上げる『 America 』、決闘と逢瀬の両方を待ち焦がれる、おそらく本作で最も有名な『 Tonight 』、同じく不朽の名作『 サウンド・オブ・ミュージック 』を強く予感させる『 I Feel Pretty 』など、レナード・バーンスタインの音楽が冴えわたる。

 

ダンスも息を呑むほどの素晴らしさ。特にベルナルド役のジョージ・チャキリスとリフ役のラス・タンブリンがやはり目を引く。一つ一つのダンスシーンやその導入部分もロングのワンカットが多用されていて、臨場感抜群。衣装や背景も1960年代の雰囲気を醸し出している。トニーの歌う『 Something’s coming 』のシーンは『 イン・ザ・ハイツ 』を彷彿とさせた。というか、あちらが本作にインスパイアされたと見るべきか。

 

マリアとトニーの出会いのシーンは『 フランシス・ハ 』でフランシスが開陳していた愛の定義に合致する。すなわち、周囲に多くの人がいるにもかかわらず、誰も自分たちに気付かない。しかし、自分たちはお互いに相手こそが運命の人だと理解しているという瞬間を共有できることだ。子どもの頃に見て美しいと思ったが、今見てもやはり美しいシーンだ。カメラの性能だとかそういうことではなく、人間の本質が捉えられているからだろう。

 

ストーリーはまんま『 ロミオとジュリエット 』だ。敵対関係にある陣営の男女が恋に落ちる。しかし、悲劇が・・・ 思えば、10年ぐらい前まではグローバル化だ多様化だと声高に叫ばれていたが、それはつまり世界がそれだけ分断されていた証拠なのだろう。修身斉家治国平天下と言うが、まず修身のレベルからして難しい。いつの時代、どの地域でも、個人レベルですら本当に理解し合い、愛し合うのは難しい。いや、個人同士は上手くいっても、その個人が属するちょっとした集団同士が仲良くするのは、どういうわけか難しい。『 シュリ 』や『 JSA 』を観ても分かる通り、同じ民族ですら個人同士では愛し合えても、国同士では分かり合えない。陳腐な筋立てだが、どういうわけか胸を打つ。憎しみからは何も生まれない。マリアの言葉が強く響く。

 

ネガティブ・サイド

スペイン語を使う場面がもう少しあってもよかったように思う。特にチノがダンス・パーティーの場でマリアに「帰ろう」と呼びかけるのは英語ではなくスペイン語であるべきだろう。

 

クラプキ巡査の去り際、緊急通報が入ったというのにパトカーが一切サイレンを鳴らないのは何故なのか。

 

映画の出来そのものとは関係ないが、漫画に出てくる Captain Marvel をマーヴェル船長と訳してしまうのは時代のせいか。それでもDVDにする頃にはアメコミの知識も少しは日本に入ってきていたと思うが。

 

総評

まごうことなき傑作。スピルバーグがリメイクしたくなるのも分かるが、よほど良い味付けのアイデアがないと、失敗は目に見えている。鑑賞するのが楽しみなような、怖いような。今度は元ネタである『 ロミオとジュリエット 』を再鑑賞しようかな。というか、買おうかな。ミュージカルには興味がないという向きにもお勧めしたい。『 ベイビー・ドライバー 』と同じく、最初の10分を楽しめれば、後はエンディングまで一直線である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Beat it

「失せろ」の意。マイケル・ジャクソンの『 今夜はビート・イット 』のおかげで、80年代が青春だったという世代なら、発音や意味はお馴染みだろう。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1960年代, アメリカ, ジョージ・チャキリス, ナタリー・ウッド, ミュージカル, ラス・タンブリン, ラブロマンス, リタ・モレノ, リチャード・ベイマー, 監督:ジェローム・ロビンス, 監督:ロバート・ワイズ, 配給会社:シネカノンLeave a Comment on 『 ウエスト・サイド物語 』 -ミュージカル映画の金字塔-

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