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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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英語民間試験の導入延期に関して

Posted on 2019年11月2日2020年9月26日 by cool-jupiter

ブログでは映画の話だけをしたいと思っているが、たまには雑記的な何かを書くのもありだろう。Jovianは一応、英語の教師の端くれなのだから。

英語民間試験の延期報道に関するネット各所の反応を見て、97%ぐらいの方々が賛成しているように見える。しかしマスコミの取材対象に産業界が一切入っていないのが気になる。日本電産の創業者にして京都先端科学大の理事長である永守重信氏あたりは常々、「産業界が欲しいのは英語ができる人材」、「今の公教育では英語ができる人材が育たない。だからうちの大学でモーターと英語を使いこなせる人材を育成する」と語っているが、どこかのマスコミが取材に行かないかな。現行のセンター試験を見るに、今でも発音やアクセントの位置がどうこうとかいう出題をしているようだが、こんなガラパゴスな試験に価値は認められない。全体的に劣化TOEICにしか見えないテストで、受験生の英語力が測れていると考えるのなら、頭がお花畑であるとしか言えない。

 

異端児としての自覚を以って敢えて言うが、これで日本の発展途上国への転落までの時間が5年縮まったと思う。そして真に独立不羈の近代国家になることも。「色々な種類の試験があって、どれが自分に合うかよく分からない」という趣旨のコメントが高校生や、現場で教えている学校や塾の先生から発されている。国が情報発信しないのも喝だが、自分から情報を取りにいかないのはもっと喝!体育の成績は、50メートル走、100メートル走、110メートルハードル走、走り幅跳び、高跳び、1500メートル走のどれかで測定・評価する、と言われているようなもの。選択肢が広まって自由度が上がったことを何故に歓迎しないのか。人には得手不得手があるものだが、自分の得手で勝負できる機会が与えられるというのに、それを全力で拒否しようとする人がマジョリティであることに失望と慨嘆を禁じ得ない。

 

色々な人が色々な立場で物を言っているが、ほとんど全員に共通しているのが、旧ソ連崩壊時の一般市民の心情と同じもの。すなわち「自由からの逃走」。まさか21世紀も20年になんなんとして、日本がエーリッヒ・フロムの危惧した状況に立ち返るとは。主体的に何かを選び取ることを拒否して、所与のものを唯唯諾諾と受け取ろうするだけで、今という時代を生きていけるのだろうか。中国、インドは言うに及ばず、ブラジル、マレーシア、ナイジェリアに経済的にも精神的にも抜かれるのは時間の問題だろう。実際に同僚かつ京都大学の院生のナイジェリア人は「京大の学部生はアホばっかりだな」といつもぼやいている。

 

民間試験への移行のプロセスに問題があるということは、民間試験の内容(受験料や受験可能な場所ではなく)や入試改革のそもそもの眼目に問題があるということとイコールではない。だが、この二つを等号で結ぼうとしている人が信じられないくらい多数存在することに眩暈がしてくる。「センター試験は日本の宝」と喧伝する東大のお歴々は、日本のビジネスパーソンがグローバルなビジネスシーンで続々と討ち死にしている惨状をどれだけ理解しているのか。三単現のsだとか、動詞の不規則活用だとかの重箱の隅をつつく教育を散々施してくれたおかげで、日本のビジネスパーソンが英語を発話する時に、通じるかどうかではなく、正確であるかどうかに異常なほどにこだわるようになってしまい、結果として発話に死ぬほど時間がかかるという呪いをかけられていることをどう捉えているのか。

 

入試を変えれば教育の全体が変わるとは思わない。そこまで自分はナイーブではない。しかし、入試を変えないことには教育の現場も変わらないし、ただでさえグローバルなビジネスシーンで死屍累々の日本の産業の延命すら叶わない。文科相の発言は、格差を正すべき立場の政治家にあるまじきものではあるが、その点だけをあげつらって、入試改革の延期を勝ち取って喜色満面になっている方々は、本来はもっと青ざめていてしかるべきだ。このままでは2019年11月1日は、日本の教育及び産業の没落を決定的にした日として歴史に刻まれるだろう。

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