ザ・プレデター 20点
2018年9月27日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ボイド・ホルブルック トレバンテ・ローズ ジェイコブ・トレンブレイ キーガン=マイケル・キー オリビア・マン
監督:シェーン・ブラック
- 以下、マイルドなネタばれ記述あり
まるで『デスノート Light up the NEW world』を観ているようだった。つまり、長い年月を経て続編を作ったにもかかわらず、そこにあるべきアイデアが全く無いという意味である。デスノートという凶悪な兵器が存在することが分かっている。そして、そのノートが力を発動する条件も解析されている。ならば可能な限りのシミュレーションを行い、万全に近い対策を取れるようになっていなければおかしい。にも関わらず、お面は無いだろうお面は・・・と落胆させられた映画ファンはきっと多かったことと思う。あの何とも言えないがっかり感、虚脱感をまた味わえるのが本作である。よほどこのシリーズ、もしくはプレデターというクリーチャーに思い入れが無い限りは、カネと時間の両方を浪費することになるだろう。注意されたし。
スナイパーのクイン・マッケナ(ボイド・ホルブルック)は、任務の最中に異星人の宇宙船の墜落に遭遇してしまう。そこで仲間を失い、自身もピンチに陥るも、異星人の装備を偶然に発動させてしまったことで危機を脱する。事態の深刻さを重く受け止めたクインは、自閉症気味だが天才でもある息子、ローリー・マッケナ(ジェイコブ・トレンブレイ)に装備を託す。しかし、1987年から異星人の襲来を知り、研究をしていた機関がマッケナ家に迫る。一方で、異星人を狩る異星人も地球に降り立ち、事態は混迷を極める。マッケナは、刑務所へ護送中の脛に傷のある兵士たちと共に立ち上がる・・・
以下は、余りにも不可解な点のいくつかを書き出したものなので、これから映画本編を存分に楽しみたいと思っている方は読まない方がよいかもしれない。
まず言っておかねばならないのは、この映画の登場人物たちの思考や発言、行動をまともに理解しようとしてはいけない、ということである。なぜ生きたプレデターのサンプルをあれほど無造作に扱うのか。『ライフ』における“カルヴィン”の如く扱われてしかるべきではないのか。なぜプレデターの装備品を強化ガラスでも何でもない、ただのガラスケースに入れて展示しているのか。なぜ女性生物学者のケイシー(オリビア・マン)がララ・クロフトばりの体術を披露してプレデターを追跡するのか。なぜ自国の戦闘機が撃墜されているというのに、米軍は本腰を入れてプレデター掃討に乗り出さないのか。なぜ警察や軍は真っ先に張り込むべきクインの自宅に張り込まなかったのか。なぜクインの仲間たちは車を手に入れろと言われて、絶対に盗んではいけないコップ・カーを盗んでくるのか。なぜローリーが、全くの不運とはいえ、プレデター兵器で殺人を犯さねばならないのか。なぜケイシーは、いやしくも生物学者の端くれであるにも関わらず、異星生物の体液に何の抵抗もなく素手で触れてしまうのか。なぜケイシーは光学顕微鏡でプレデターの血液を覗いて、それが各種生物のハイブリッドであると分かるのか。そもそもプレデターのDNA、というか遺伝情報が書き込まれた生化学物質は光学顕微鏡で見えるサイズなのか。また、なぜ見たことがないはずの≪銀河系中の生物の遺伝情報≫を取りこんでいる、などと分析できてしまうのか。30年も研究していたなら、プレデターの装備の素材の強度などとっくの昔に分析済みだろう。なぜ通用しないと分かっている弾丸を撃ち続けるのか。徹甲弾ぐらい用意できなかったのか。またファーストはなぜスーツそのものを人類に託すのか。そこは設計図、もしくはプレデター側の情報だろう。
さらに本作の問題点は続く。どこかで見た構図が異様に多いのだ。ちょっと思い出せるだけでも『ミッション・インポッシブル』、『ターミネーター』および『ターミネーター2』、『エイリアン』および『エイリアン2』、『スタートレック』、『アイアンマン』、『インデペンデンス・デイ』および『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』などなど、Jovian以上のCinephileなら、おそらくもう20~30本は本作の先行作品というか、模倣の基になったお手本作品の名を挙げられるのではなかろうか。
オリジナルの『プレデター』が素晴らしかったのは、軍人ユニットに特有の緊張感のあるユーモア、サバイバルという共通の目的を暗黙のうちに理解し合ったチームワーク、そして戦士vs戦士へと昇華していく流れの良さだった。役者としてそこにいたはずのシェーン・ブラックにして、何故こんなクソのような続編を作れてしまうのか。本編中でやたらと「プレデターは言葉通りの意味のプレデターではない」みたいなことを何度もキャラクターに喋らせ、代わりに「エイリアン」を連呼させていたが、何か映画製作中に外部もしくはスポンサーから特別な注文でもついたのか。ここからさらに続編作る気満々のようだが、製作者を総入れ替えしない限り、同じようなクソ作品になることは火を見るよりも明らかである。