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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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タグ: 水橋研二

『 殺人鬼を飼う女 』 -エロシーンを減らして再編集せよ-

Posted on 2019年8月23日2020年4月11日 by cool-jupiter

殺人鬼を飼う女 20点
2019年8月22日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:飛鳥凛 水橋研二
監督:中田秀夫

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190823040142j:plain

シネ・リーブル梅田で『 アンダー・ユア・ベッド 』と『 殺人鬼を飼う女 』のパンフレットを目にした時は興奮した。『 君が君で君だ 』で大石圭に少しだけ触れたが、東野圭吾ではない作家の小説も映像化されるようになってきた。これは嬉しい傾向である。それでは、本作はどうか。もしかしたら、我々の愛した中田秀夫監督は、終わってしまったのかもしれない。

 

あらすじ

キョウコ(飛鳥凛)はビストロでギャルソンとして働いていたが、実は解離性同一性障害、俗に言う多重人格だった。自宅マンションの隣の住人が、たまたま大好きな小説家の田島冬樹(水橋研二)だったことで、キョウコの心は仄かにときめいた。しかし、キョウコの中の他の人格たちは、そのことを快くは思わず・・・

 

以下、映画のネタばれに類する記述あり

 

ポジティブ・サイド

主演の飛鳥凛の裸体は美しかった。ものすごく顔立ちが整っているだとか、ものすごくプロポーションが良いというわけではないが(失礼)、普通の美人が普通に脱いで、普通にエロい演技をしてくれる。それはそれで凄いことである。濡れ場を演じると、ある方面では評価が高まるが、ビッグスクリーンに出たり、あるいはお茶の間のCMに起用されたりする可能性は低くなる。そういう意味では出し惜しみせずに、見せられる部分はすべてさらけ出した飛鳥は“表現者”として認められなければならない。

 

同じくその他人格たちや、水橋研二も同様である。最後の4Pは一体どれくらいの時間をかけて撮影したのだろうか。とにかく出演者に拍手である。『 娼年 』でもそうだったが、セックスを性欲処理ではなく愛情表現あるいはコミュニケーションの一形態としてしっかりと描くことができれば、それは立派な芸術である。

 

ネガティブ・サイド

主人格と副人格たちを別の役者を使って、同時に映し出す。それ自体は別に構わない。しかし、そこにひと手間が欲しかった。キョウコは鏡に映るが、他の人格たちは映らないだとか、キョウコには影があるが、他の人格たちには影がないだとか。何かしらの仕事がそこに為されているべきだった。

 

彼女らは人格という意味では実在するが、実体は存在しない。体はキョウコのものなのだから。だからこそ、自分たち同士でまぐわう時には、キョウコが常に受けである。ここまでは理解できる。だが、別人格たちがパーティーをしながら飲食するシーンがある。これは一体どういうことだ?もちろんそれは幻なのだが、そもそもそんな幻を見ること自体がおかしいではないか。

 

多重人格ものは小説でも映画でも量産されてきた。近年でも『 スプリット 』や『 ジョナサン -ふたつの顔の男- 』などが公開された。多重人格もののクリシェは、まだ隠された人格がある、ということに尽きる。なので、その隠された人格が、いつ、どのような条件で出現するのかがサスペンスを生み出す要因になる。

 

だが、タイトルにもなっている殺人鬼の人格が現れるタイミングがよく分からない。エクスタシーを感じると出てくる?だからセックス後に出現するのか?いや、公園で小説を読んでいる最中にも出現したようだ。ならば、恍惚とした時か?だとすると、夜中にベッドから起き上がって人格交代した理由が説明できない。いや、幼少の頃から殺人鬼の人格はすでに存在していたはずだ。でなければ、冒頭のシーンも説明がつかない。人形をベランダから落とすシーンからすると、どうも一番幼い人格が一番怪しそう・・・というか、唯一、殺人鬼の人格と通じていそうだが、物語はそのあたりを明らかにしてくれない。それはそれで構わないのだが、せめて人格交代のタイミングやきっかけに一貫性を持たせる演出をしてほしい。

 

最大の不満は、エロシーンが無意味に長いことである。上映時間は83分だが、レズやセックスのシーンを5分削って、その他の細かい描写を10~12分加えて1時間半のランタイムにすることができるはずだ。その時間で、捨ててしまった本を回収するシーンを追加したり、キョウコの母と田島の会話をもっと掘り下げたり、来るべきタイミングで警察が来ない理由を説明したり、キョウコと田島が互いへの思慕の情を募らせるシーンをもっと丹念に描いたりできるはずだ。中田監督はいったい何を撮りたかったのか。本来ならば、編集に費やす時間を使って、やたらとうるさいリップ音やセックスシーンの結合部の抽送音の音量をせっせと弄くっていたのだろうか。

 

総評

一言、つまらない。多重人格ものとしてあるべき新しさがないし、ホラー要素にも欠ける。飛鳥凛その他の女優の裸体を鑑賞したいという向きには自信をもってお勧めするが、ホラー、サスペンス、ミステリ、スリラーなどのジャンルを好むシリアスな、ハードコアな映画ファンにはとてもお勧めはできない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

「後で連絡するね」

We’ll be in touch. 日本語的に考えると、主語=私となり、I’ll contact you later.となる。それでも特に問題はない。ただ実際には“We’ll be in touch.”=私たちは連絡状態になる、という表現が好んで使われる。『 ア・フュー・グッド・メン 』でも、“You’re not going anywhere, Colonel.”という台詞があるが、「大佐、あなたはどこにも行かないでしょう」ではなく、「(私はあなたを)どこにも行かせませんよ、大佐」のような訳となる。この辺の主語の感覚が英語の面白いところ。

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, E Rank, スリラー, 日本, 水橋研二, 監督:中田秀夫, 配給会社:KADOKAWA, 飛鳥凛Leave a Comment on 『 殺人鬼を飼う女 』 -エロシーンを減らして再編集せよ-

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