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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 監督:オル・パーカー

『 17歳のエンディングノート 』 -Live as if you were to die tomorrow-

Posted on 2020年5月23日 by cool-jupiter

17歳のエンディングノート 65点
2020年5月21日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ダコタ・ファニング カヤ・スコーデラリオ
監督:オル・パーカー 

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200523101421j:plain
 

『 マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー 』の監督作。COVID-19禍が縮小傾向とはいえ、第二、第三波は来る。まさか『 フィフス・ウェイブ 』ような間抜けにもほどがある第五波が来るとは思っていないが、世界の死者数などを知ると命のはかなさについて考えざるを得ない。そこで本作をチョイス。

 

あらすじ

テッサ(ダコタ・ファニング)は若くして癌を患っている。そしてついに医師に余命宣告を受けた。彼女は死ぬまでにやりたいこと決めて、それらを実行していく。そしてテッサは最近隣に引っ越してきたアダムとの距離を確実に縮めていくが・・・

 

ポジティブ・サイド

こういうストーリーでは、死に行く主人公よりも、その周辺のキャラクターが光り輝く。本作も例外ではない。テッサの父がアダムと出会って語る言葉の前半は、全ての父親に共通する心理だろう。そしてその言葉の後半は、『 ミッドナイト・サン タイヨウのうた 』におけるロブ・リグルや『 8年越しの花嫁 奇跡の実話 』の杉本哲太のそれと同じである。病気の娘を輝かせるのは父親というのは、古今東西の映画文法のようである。ベタではあるが、やはりオッサンの好演に心を揺さぶられる。

 

テッサの家族が一致団結していないことが本作のアクセントになっている。必死で娘に向き合う父親、その父親とは離縁していて、娘の看病や介護ができずにおろおろする母親、そして姉の病気を正しく理解するにはまだ幼すぎる弟。こうした、ちょっと普通ではない家族だからこそ、テッサは時に傷つき、そして救われもする。そして若くして妊娠する親友に、とある秘密を抱えた隣家の青年と、家族外でテッサを取り巻く面々も多士済々だ。テッサの親友のゾーイと恋人アダムが絡まないのも潔い。変に人間関係をこねくり回すよりも、これぐらいがちょうど良いと感じた。

 

『 マトリックス レボリューションズ 』のエージェント・スミスは“The purpose of life is to end.”と喝破したが、本作はその逆のテーマを非常にベタな手法で力強く称揚する。生きるからには愛し愛されたいものである。

 

ネガティブ・サイド

冒頭のテッサの屋内スカイダイビングのシーンは、おそらく顔だけ差し替えている。このアトラクションはフェイスマスクをつけることが多い。つけない場合は、鼻の穴や唇が常にプルプルすることになる。ダコタ・ファニングの変顔を、監督が見せたくなかったのか、それとも本人が嫌がったのか。いずれにせよ、死ぬまでにやりたいことをやるというのが本作のコンセプトなのだから、変にCGなどは使わないでほしかった。

 

中盤にアダムが街中に思わぬ仕掛けを施すが、時間的に、また労力的にちょっとこれは不可能ではないかという仕事をやってのけている。非常に良いサプライズなのだが、もうちょっとリアリスティックにしてほしかったところ。

 

テッサが自室の壁に書いていくTo do リストが少々弱い。というよりも、始まりと終わりが上手くつながっていないというか、死ぬまでにやりたいことと、開き直ってもうやっていることが、ごっちゃになっている部分があった。「明日死んでもいいように今日を生きろ」というのが本作のメッセージの一つである。ならば、そのようにテッサが思い立って行動を始める瞬間を、もっとドラマチックに描いてほしかったと思う。

 

総評

よく練られた話である。100分ほどと、コンパクトにまとまっているし、ストーリーやキャラクター同士の関係も適切な範囲でのみ盛り上がる。Jovianはエル・ファニング推しであるが、姉ダコタも素晴らしい役者であると感じる。躊躇なく下着姿になって海に向かって突撃するシーンはまさに青春である。女子高生の娘を持つ父親が、家族で鑑賞して、そして泣いて見せればよいのではと思う。娘が父の愛の大きさと深さに感動するか、それとも気持ち悪いと感じるか、そこは諸刃の剣だろうが。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

drift away

訪問看護師がテッサに「疼痛緩和が進めば、やがて意識がなくなる」と語った、“意識がなくなる”の意味である。物理的にドリフト的に本来の場所から逸れて行ってしまうという意味と、意識が今この瞬間から離れて行ってしまうという意味の二つがある。後者については、オールド・ロックンロールのファンならばロッド・スチュワートやレイ・チャールズ、ドゥービー・ブラザーズやローリング・ストーンズが歌った“Drift Away”=『 明日なきさすらい 』を知っているはずだ。I wanna get lost in your rock and roll and drift away!

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, イギリス, カヤ・スコーデラリオ, ダコタ・ファニング, ラブロマンス, 監督:オル・パーカー, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 17歳のエンディングノート 』 -Live as if you were to die tomorrow-

『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』 -ミュージカル映画の王道-

Posted on 2018年9月3日2020年2月14日 by cool-jupiter

マンマ・ミーア! ヒア・ウィ―・ゴー 70点

2018年9月2日 MOVIXあまがさきにて観賞
出演:リリー・ジェームズ アマンダ・セイフライド ピアース・ブロスナン コリン・ファース ステラン・スカルスガルド ドミニク・クーパー ジュリー・ウォルターズ クリスティーン・バランスキー メリル・ストリープ シェール
監督:オル・パーカー

 

f:id:Jovian-Cinephile1002:20180903012214j:plain

14:00の回を観賞したが、座席の埋まり具合は開演2分前の時点でおよそ9割。公開から1週間でもこの勢いを保っていられるのは、リピート・ビューイングをするお客さんが多いからだろうか。映画のキャラクターが現実と同じように年をとっていくのは、シリーズものではそれほど珍しくはない。『ミッション・インポッシブル』シリーズは言うに及ばず、『トレインスポッティング』や『ジュラシック・パーク』シリーズと『ジュラシック・ワールド』シリーズなど、オリジナル・キャストが年齢を重ねて再登場してくれることで、観る者が一気にその世界に帰っていくことができる。近年で最も衝撃的な形でそうした体験をさせてくれたのは、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のトレイラーでハン・ソロ(ハリソン・フォード)が、”Chewie, we’re home.” と静かに、しかし力強く呟いたあの瞬間である。断言できる。

本作は冒頭から、サム(ピアース・ブロスナン)が呟くように歌ってくれる。前作でのあまりの音痴っぷりがトラウマになったのか、それとも編集で歌唱シーンがカットされてしまったのか、彼の歌声が聞けなかったのは、ホッとするような残念なような。ドナ(メリル・ストリープ)が亡くなったことで、ホテルを回想し、リ・オープニングすることを決めたソフィ(アマンダ・セイフライド)は、スカイ(ドミニク・クーパー)からニューヨークで一緒に暮らさないかという誘いに心が揺れる。島で母のホテルを継ぐのか、広い世界に飛び出していくのか。逡巡するソフィと島に迫り来る嵐と人々。過去と現在が、ABBAの音楽に乗って鮮やかに交錯し、若き日のドナ(リリー・ジェームス)の日記の...(dot dot dot)の部分を、我々は追体験する・・・

使用されているABBAの楽曲がややマイナーになっている点を除けば、非常に忠実に前作『マンマ・ミーア!』の世界観を継承している。こうした過去と現在をつなぐ映像作品の良し悪しは、身も蓋もない言い方をしてしまえば、キャスト同士がどれだけ似ているが第一義である。例えば『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』や『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』がどうしようもない駄作で、世界観を一気にぶち壊しかねない設定(ミディ=クロリアンなど)を盛り込んだにもかかわらず、スター・ウォーズ的であり得たのは、ヘイデン・クリステンセンやユアン・マクレガーが、マーク・ハミルやアレック・ギネスと親子関係あるいは同一人物であると納得できるルックスを持っていたからだ。そこでリリー・ジェームズである。確かに前作では、若かりしドナの顔が少しぼやけた写真がいくつかあった。そして、それらはあまりにもメリル・ストリープにしか見えない写真だった。しかし、どういうわけか、メリル・ストリープとリリー・ジェームズの写真を介さずに並べるなら、同一人物であるとは言えないまでも、納得できるレベルで充分に似ている。もちろん、メイクアップ・アーティストやヘアドレッサー、照明や撮影監督の技量もあるが、このキャスティングだけで半ば本作の成功は約束されていた。ターニャとロージーの若い頃を演じた2人などは、それこそスタッフの力もあるが、びっくりするほど仕上がっていた。そしてシェール演じるドナの母親、ソフィーの祖母。確かにメリル・ストリープの母を演じて良いのは、このような妖怪(褒め言葉と捉えて頂きたい)しかいないのかもしれない。

唯一の懸念はジェームズの歌声。『シンデレラ』では“夢はひそかに/A Dream Is a Wish Your Heart Makes”を歌いあげたが、『ベイビー・ドライバー』では、やや調子っぱずれに Carla Thomasの“B-A-B-Y”とBeckの“Debra”を歌っていた(そういう指示があったのかもしれないが)。だが、それは杞憂だった。オープニングの“When I Kissed The Teacher”で、傑出したとまでは言えないものの、前作のセイフライドに全く見劣りしないパフォーマーであることを証明した。また、メリル・ストリープのあの「アッハハハーハハー」という笑いを完コピしていたのはポイント高し。その他でも、ストリープのほんのちょっとした仕草や立ち振る舞いも取り入れており、パーカー監督との息もばっちり合っていたようだ。後は物語の流れに身を任せれば良い。劇場では『コーヒーが冷めないうちに』のポスターがでかでかと4回泣けますと謳っていたが、Jovianは本作観賞中に4回涙した。そのうちの二つは、コリン・ファースとステラン・スケルスガルドの抱擁シーンと”Dancing Queen”。後の二つは劇場でご自身で確認頂きたい。

そうそう、劇場が明るくなるまで席を立ってはいけない。また、ハリーが東京で大きな商談をするシーンがあるが、そこに描出される日本および日本人像に腹を立ててはいけない。『ロスト・イン・トランスレーション』から『ラスト・サムライ』まで、日本人というのは誤解されてナンボなのである。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アマンダ・セイフライド, アメリカ, ミュージカル, メリル・ストリープ, リリー・ジェームズ, 監督:オル・パーカー, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』 -ミュージカル映画の王道-

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